労働時間に含まれるもの、含まれないもの
労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、使用者の明示または黙示の指示によって労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たります。
労働時間に含まれるものには、貨物の積込み係が貨物自動車の到着を待つ間に体を休めている時間(手待時間)や、昼食休憩時間中の来客当番(実際に来客があったかどうかは不問)に当たる時間などが該当します。
一方、労働時間に含まれないものには、自由参加である就業時間外の教育・研修を受ける時間や、一般健康診断を受ける時間などが当てはまります。
適用除外
農業・水産業労働者のほか、①監督もしくは管理の地位にある者(管理監督者)または機密の事務を取り扱う者、②監視または断続的労働に従事する者で使用者が行政官庁の許可を受けたものについては、労働時間、休憩、休日の規定は適用除外とされています(労基法41条)。
ただし、深夜業をさせた場合には割増賃金支払いの義務が生じます。また、年次有給休暇に関する規定は除外されません。
監督もしくは管理の地位にある者とは、いわゆる「管理職」といわれている人が当てはまるでしょう。しかし、単に肩書のみであって実際は労務管理や待遇について一般労働者となんら変わりのない人は含まれません。
監視または断続的労働に従事する者とは、守衛のように身体の疲労や精神的緊張の少ないもの、寄宿舎の寮長や宿直の業務のようなものをいいます。
なお、2019年4月から施行された高度プロフェッショナル制度では、高度の専門的知識等を有し、職務の範囲が明確で一定の年収要件を満たす労働者を対象に、労使委員会の決議や労働者本人の同意を前提として、年間104日以上の休日確保措置や健康・福祉確保措置等を講ずることによって、労働時間、休憩、休日および深夜の割増賃金に関する規定が適用されないものとされています。
労働時間に含まれるもの、含まれないもの
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この解説は『初任者・職場管理者のための労働基準法の本 第4版』より抜粋しました。労務行政研究所:編 A5判 192頁 2,035円 |