不当解雇認定し賠償命令 ビッグモーターに水戸地裁

 中古車販売大手ビッグモーター(東京)の茨城県内の店舗に勤務していた車両整備士の30代男性が、上司の個人的な感情を理由に解雇されたとして、同社に約450万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、水戸地裁が不当解雇と認定し請求通りの賠償を命じた。11日、関係者への取材で分かった。

 同社は判決を不服として控訴。取材に「係争中の件に関しては回答を控える」とコメントした。判決は2月8日付。

 原告の男性は取材に「突然首にされて金銭や精神面で地獄だった。ビッグモーターに不当解雇されても声を上げられない人がたくさんいる。今回の判決が希望になればうれしい」と訴えた。

 判決によると、男性は2015年に同社と労働契約を締結。修理工程の管理などを担った。後に着任した工場長は「他の従業員が男性の意見に従うことが多く、自分の意見が聞いてもらえない」と感じ、エリアマネジャーにその旨を報告した。

 マネジャーと工場長は21年3月、男性と面談し、退職届を提出するよう求めた。男性は拒否し業務を続けたが、帰るよう言われ以後は出勤しなかった。会社側は、解雇ではなく、男性が退職を申し出たと主張していた。

 数間優美子裁判官は判決理由で、男性の勤務態度に問題があったとの証拠はなく、退職届の提出も一貫して拒絶したと指摘。「自ら退職するというのは不自然だ」と会社側の主張を退けた。

 その上で、会社が解雇したのに、ハローワークに提出した離職証明書に「労働者の個人的な事情による離職」と虚偽記載をしたと判断。この記載が「違法行為であることは明らか」だとした。

 (共同通信社)