最賃1500円目標前倒し 自民「30年代半ば」待たず 地域差是正、政府提言へ

 岸田政権が掲げる「新しい資本主義」実現に向けた自民党の提言案が判明した。政府が昨夏に打ち出した最低賃金の全国平均時給を2030年代半ばまでに1500円とする目標に対し「より早く達成できるよう官民連携して努力すべきだ」と明記し、実現の前倒しを迫った。地域間の格差是正も盛り込んだ。党関係者が17日、明らかにした。
 月内にも政府に提言し、政府が6月に策定する経済財政運営の指針「骨太方針」への反映を目指す。
 23年度の最低賃金は全国平均で時給1004円と初めて千円を超えた。提言案では、賃上げの余力に乏しい中小企業、小規模企業の省力化投資を促し、労働生産性の向上を求めた。事業承継と企業間の合併・買収(M&A)の環境整備も必要だとした。
 このほか、家庭で捨てられる衣類の量を30年度までに20年度比で25%削減することを目指すべきだと提言。ファストファッションの台頭で大量廃棄が課題になっている。供給量の適正化を進める取り組みも視野に、官民連携のルール作りを訴えた。
 高齢化で市場拡大が見込まれるヘルスケア分野は、起業家を後押しする拠点整備の加速化を明記。医療機器に詳しい人材の育成を進めるよう提案した。
 保険診療と保険外診療の併用を認める制度の対象範囲を広げ、有効性評価が十分ではない最先端医療などをより利用しやすくすべきだとした。
(共同通信社)