退職金不支給は「適法」 大津市元課長、逆転敗訴

 飲酒運転で物損事故を起こし、2018年に懲戒免職となった大津市元課長の男性が、退職金を全額不支給とした市の処分取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)は27日、処分は適法として請求を棄却した。不支給を取り消した二審大阪高裁判決を破棄し、男性側の敗訴が確定した。裁判官5人中4人の多数意見。
 判決によると、男性は大津市総務部の課長だった18年8月、缶ビールや発泡酒を飲んで車を運転。駐車場で停車中の車にぶつけ、帰宅途中で縁石の反射板を壊した。同10月に懲戒免職となり、退職金約1620万円を全額不支給とされた。
 第1小法廷は管理職にあった男性の行動が、市の公務に対する住民の信頼を損なうのは明らかだとし「全額不支給とした市長の判断に裁量権の逸脱・乱用があったとは言えない」と結論付けた。
 弁護士出身の岡正晶裁判官は、退職金には給与の後払いや生活保障的な性格があるとし「減額はやむを得ないとしても、全額不支給は重すぎる」との反対意見を付けた。
 21年の一審大津地裁判決は、事故は比較的軽微で被害弁償がされているとして、不支給処分を取り消した。22年の二審判決も支持した。
(共同通信社)