講座概要
長期雇用を前提とする正社員の人事制度において、戦後の生活給から職能資格制度、最近ではいわゆる成果主義型賃金制度が取り入れられるようになりました。そのため、成果等によって賃金を変動させる仕組みが取り入れられるようになり、制度の運用において賃金減額を行うことが増え、それに伴う紛争も増加しつつあります。今後、労働契約はますます多様化が進むことが予想され、それに伴い賃金減額を行わざるを得ない場合も増えてくることが考えられます。本講座では、裁判例を基準にしつつ、人事・評価制度による賃金減額の可否、限界、実務上の留意点について解説します。
本講義は、Zoom(ウェビナー)を利用してWebで配信いたします。
ご参加に伴い下記URLをご確認ください。
https://www.rosei.jp/seminarstore/seminar/zoom
【本講座のポイント】
①人事・評価制度による賃金減額の可否、限界、実務上の留意点について理解できます
②賃金制度の多様化の諸相を整理できます
③裁判例を踏まえて、トラブルを未然に防ぐ対応策が学べます
講座内容
Ⅰ 人事・評価制度による賃金減額とは?
1.降格とは?(降職と狭義の降格)
2.制度(職能管理制度等)による降格・賃金減額への捉え方の違い
Ⅱ 人事・評価制度による賃金減額は可能
1.賃金減額はできないという企業の思い込み
2.バブル経済崩壊後の大幅賃金減額無効裁判例
3.会社の裁量を認める方向に変わりつつある降格等による賃金減額に対する判断
Ⅲ 成果主義型賃金制度導入に伴う降格制度導入
1.制度導入の際は不利益変更が問題となる。何をもって不利益とするか?
2.現在も枠組みが通用するノイズ研究所事件(東京高裁 平18.6.22判決)
Ⅳ 成績不振等を理由とする降格による減給の有効性
1.裁判所は仕組みがあれば降格による減給について意外と寛容
2.どこまで下げることができるか?
3.最近の裁判例
Ⅴ 職務変更を理由とした減給の有効性
1.今後ジョブ型賃金の普及により職務変更を理由として降格となり、その結果減給となる事例が増える
2.職務変更を理由とした減給を有効と判断した裁判例
講師プロフィール
杜若経営法律事務所 パートナー弁護士
向井 蘭 氏
杜若経営法律事務所 パートナー弁護士
向井 蘭 氏
【略歴・著書】
昭和50年生まれ。平成9年東北大学法学部卒業。平成13年司法試験合格。平成15年弁護士登録(第一東京弁護士会)。同年狩野法律事務所(現・杜若経営法律事務所)入所。平成21年狩野・岡・向井法律事務所(現・杜若経営法律事務所)パートナー弁護士。主に使用者側の労働事件に関与。経営法曹会議会員(使用者側の労働事件を扱う弁護士団体)。近著に『改訂版 書式と就業規則はこう使え! 使用者側弁護士が教える69の書式例』(労働調査会)、『管理職のためのハラスメント予防&対応ブック』(ダイヤモンド社)、『改訂版 会社は合同労組・ユニオンとこう闘え!』(日本法令)など多数。