労働基準法の定める基準に達しない労働契約

公開日 2009.02.06 あした葉経営労務研究所



●労働基準法に定める基準は「人たるに値する生活を営むための必要を充たすべき」最低基準(1条)であり、この基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その達しない部分については無効とし、法の定める基準に置き換えられる(労働基準法13条)。

●労働契約すべてを無効とするのではなく、労働基準法が定める基準に達しない労働条件を定めている契約部分だけを取り出して無効とし、その契約部分だけを法定の基準に置き換えるという趣旨である。これを「部分無効」という。

●契約内容の主たる部分が法律違反であった場合、民法では90条(公序良俗)違反として、契約自体が無効とされる可能性がある。これに対して労働基準法では、部分無効という考え方により、契約自体は有効とし、労働基準法の強行規定(効力規定)違反の部分だけを法定基準に修正する。

●労働基準法に定める基準とは、労働時間、休憩、休日、年次有給休暇、賃金の支払方法、解雇に関する規定等、各条に定める労働条件を指す。

●1日の労働時間を10時間と定めた労働契約の場合、1日8時間とする契約に修正されたと解される。この場合の賃金は労働の性質や契約内容から時間給であることが明らかな場合以外、賃金部分については当初の契約どおりとなる(橘屋事件 大阪地裁 昭40.5.22判決)


■関連用語
労働基準法
労働条件の原則

(あした葉経営労務研究所 代表/株式会社キャリア・ブレーン 認定キャリア・コンサルタント 本田和盛)