競業避止義務

公開日 2009.02.06 あした葉経営労務研究所



●労働者が、使用者と競合する企業に就職し、または自ら事業を営まない義務を競業避止義務という。

●在職中は、労働契約に付随する義務として信義則上当然に競業避止義務を負う。

●取締役については会社法356条において競業・利益相反取引行為が制限されている。

●退職後も義務付ける場合は、秘密保持義務と同様に就業規則の規定、退職労働者との合意書等、特別な根拠が必要である。特に競業避止義務は労働者の職業選択の自由を直接規制するので、その根拠に合理性があり公序良俗に反しない場合にのみ有効とされる。

●退職後の競業避止義務については、職業選択の自由に重大な制約を課すため、無制限に認められるべきでなく、内容が必要最小限であり同義務を従業員に負担させるに足る事情が存するなど合理的なものでなければならない(キヨウシステム事件 大阪地裁 平12.6.19判決)。

●退職後の競業行為を理由とする、退職金の不支給・減額については、競業の態様や使用者に与える損害からみて、在職中の勤続の功を抹消・減殺してしまうほどの著しい背信性を有する場合のみ許される(中部日本広告社事件 名古屋高裁 平2.8.31判決)。


■関連用語
労働契約
二重就業の禁止義務
秘密保持義務

(あした葉経営労務研究所 代表/株式会社キャリア・ブレーン 認定キャリア・コンサルタント 本田和盛)