公開日 2011.03.01 和田東子(HRDジャーナリスト)
三つの欲求理論(みっつのよっきゅうりろん)
デイビッド・マクレランドは従業員のモチベーションを調査し、達成欲求、権力欲求、親和欲求の三つの主要な欲求があることを発見した(1961年、1974年)。これを「三つの欲求理論」という。
①達成欲求(need of achievement)
何かを自分で成し遂げたいという欲求。達成欲求が高い人は、やりがいのある問題に主体的に取り組み、自分の責任で行動することを好む。現実的だが実現が難しい目標を与えられたときに最上の成績を収める傾向にある。
②権力欲求(need for power)
他人にインパクトを与え、影響力を発揮し、他人をコントロールしたいという欲求である。権力欲求の強い人は責任を与えられることを好む。効率的な成果よりも、信望を得たり、他人に影響力を行使することにこだわる傾向がある。
③親和欲求(need for affiliation)
他人に好かれ、受け入れてもらいたいという欲求である。親和欲求の強い人は他人との友情を求め、競争的な状況よりも、協力し、相互理解を深めることを好む。
マクレランドは、ある人が三つの欲求をどの程度もっているかを広範囲に調査し、三つの欲求とその人の業績との相関性について調べた。その結果、次のことが明らかになった。
①達成欲求の高い人ほど個人の業績が高い傾向がある。そのため自営業者や大企業の中の独立的な組織のマネジメント、販売部門などで成功している人が多い。
②しかし達成欲求の高い人が優秀なマネジャーになれるとは限らない。特に大企業においてこの傾向が見られる。
③優秀なマネジャーであるか否かに強い相関性があるのは、親和欲求と権力欲求である。権力欲求が高く、親和欲求が低いマネジャーが最も優秀なマネジャーとして活躍していた。
■参考文献
『組織行動のマネジメント』ステファン・ロビンス著(ダイヤモンド社、1997)
『動機づける力』DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部(ダイヤモンド社、2005)
■関連用語
モチベーション理論