神垣あゆみ かみがきあゆみ/ライター
依頼や誘いを断るのは気が引けるものです。断ることは、相手との関係にマイナスになると考えがちですが、断り方とフォロー次第で良好な関係を維持できます。相手と気まずくならずに済む断り方のコツを紹介しましょう。
気まずい思いやしこりを残さず、感じよく断るためのポイントは3つあります。
●ポイント1:まずは依頼や誘いに対する感謝を述べる
断るときには、相手に申し訳ないという気持ちから、つい「すみません」を使ってしまいがちです。しかし、声を掛けてくれた相手の厚意に対して、まずは「ありがとうございます」と感謝の言葉を伝える方が感じが良いです。
「ありがとうございます」から始まるメールは、後に続く文が断りの内容であっても受け入れられやすいのに対し、「すみません」で始まるメールは、メール全体が相手に対する拒否・拒絶に映り、ネガティブな印象を与えます。
「ありがとうございます」と言われて、嫌な気持ちになる人はいません。相手を受け入れる姿勢を示す「ありがとうございます」を効果的に使いましょう。
× すみません。その日はちょっと都合が悪いので、参加は無理です。
◎ お声を掛けていただき、ありがとうございます。
残念ながら、その日はすでに予定があり、参加できそうにありません。
●ポイント2:断る理由ははっきりと。表現は婉曲に
断る理由をきちんと伝えることも大切です。気まずくなるからといって、あいまいな表現でお茶を濁したり、返信を先延ばしにするのは、相手に対しても失礼。好き嫌いの感情を理由にするのも説得力がありません。
理由が長いと言い訳がましくなるので注意が必要ですが、いきなり「無理です」「できません」と断るのも反感を買います。「~だから、参加できません」「~しているため、お受けできません」とできない理由を述べましょう。
そのとき、「あいにく」「せっかくですが」「残念ながら」などの言葉を添えると、直接的な表現を和らげる“緩衝材”の役割を果たしてくれます。
× 会場が遠すぎて、嫌です。出席したくありません。
◎ 会場が遠方のため、とても間に合いそうにありません。
残念ですが、今回は出席を見送ることにいたします。
●ポイント3:断って終わりでなく、次につなげるひと言でフォローを
断って終わりにせず、フォローの言葉を添えて、メールを完結させましょう。
依頼に対しては、どうしたら「できない」を「できる」に替えることができるか考え、代替案を提示します。
例)今日中の対応は難しいですが、明日からであれば対応可能です。
誘いに対しては、今回はやむを得ず断るけれど、次回は対応の意思があることをアピールします。
例)今回は都合により参加できませんが、次回は必ず参加しますので、
ぜひ、お声掛けください。
断ることで、相手との関係をそれで終わりにしてしまわず、相手の立場になって、より良い結果を導き出す配慮を忘れなければ、縁や関係は続いていきます。自分の都合だけでなく、相手の意向や気持ちに添った対応を心掛けましょう。
《ワンポイント》断るときもポジティブに
断るときも否定的な表現より肯定的な表現を使いましょう。例えば「15時まで対応は無理です」という否定表現より「15時以降でしたら対応可能です」という肯定表現の方が前向きで好印象を与えます。
神垣あゆみ(かみがきあゆみ)Profile ライター 広島を拠点に官公庁冊子や企業の記念誌、社内報、PR誌の編集・制作に携わる傍ら、メールマガジン「仕事美人のメール作法」を配信。『メールは1分で返しなさい!』(フォレスト出版)など、メールマナー関連の著書多数。 |