2011年07月25日掲載

好印象で仕事上手! ビジネスパーソン メール術【神垣あゆみ】 - 敬語を使いこなすために「これだけは知っておきたい!」ポイント:ビジネスパーソン メール術(8)

好印象で仕事上手! ビジネスパーソン メール術(8)
神垣あゆみ かみがきあゆみ/ライター

相手に失礼のないように、と気を遣うあまり、敬語を使いすぎていたり、誤った使い方をしていたり、という傾向がビジネスメールにも見受けられます。スマート&適切に敬語を使いこなすためのポイントをご紹介します。

ビジネスメールに多く見られる、間違いやすい敬語をピックアップしました。

●間違いやすい敬語-1:「~させていただきます」

「させていただきます症候群」という言葉があるくらい、使いさえすれば丁寧で、謙虚さをアピールできると多用されているのが「~させていただきます」です。

本来、相手の了解を得て何かを行う時に、その相手に対してへりくだった気持ちを伝える表現が「~させていただく」です。了解を得る相手がいなかったり、了解を得る必要がなかったりする場合に使うのは適切ではありません。

例えば、仕事の依頼に対して「お引き受けさせていただきます」という返答はNG。依頼を引き受けるのは自分の意志であって、相手にお伺いを立てるものではありません。「お引き受けいたします」が適切な表現です。このほかにも間違いやすい例を挙げてみましょう。

× 資料を拝見させていただきました。
資料を拝見しました。

× 10日までお休みさせていただきます。
10日まで休暇をとっております。


●間違いやすい敬語-2:「ご質問があります」

相手から受けた質問に回答する場合は「佐藤様からのご質問にお答えします」ですが、自分から相手に質問するときに「佐藤様にご質問があります」とするのはNG。基本的に、敬語の「ご」「お」は自分がする動作・行為には付けません。

しかし、相手のためにする行為には「ご」「お」を付けます。これは、自分の行為が向かう先の相手に敬意を表すものだからです。

例えば、「ご説明いたします」の「説明」は相手のためにする行為です。「ご連絡いたします」「お渡しいたします」の「連絡」「渡す」も、相手のためにする行為なので、「ご」「お」を付けます。

ところが、自分からする行為である「質問」や「依頼」には「ご」「お」を付けません。件名を「ご質問」「ご依頼」とするのも適切ではありません。

× 2点ほど、ご質問があります。
2点ほど、質問がございます。

× 試作品をご依頼したいのですが
試作品を依頼したいのですが


●間違いやすい敬語-3:「ご覧になられる」

二重敬語にも気をつけましょう。「中国語もお話になられる」「資料をご覧になられる」はいずれも二重敬語です。「話す」の尊敬語「お話になる」、「見る」の尊敬語「ご覧になる」に、それぞれ尊敬の「~られる」が重ねて使われています。正しくは「中国語もお話になる」「資料をご覧になる」と書きます。

× 最新の資料はご覧になられましたか?
最新の資料はご覧になりましたか?

《ワンポイント》謙譲の意味を含む「拝」
「拝読」や「拝見」の「拝」には「謹んで~する」という謙譲の意味が含まれます。ですから「ご拝読いたします」のように「ご~いたす」という謙譲表現を添える必要はありません。「拝読します」で相手への敬意は十分伝わります。

神垣あゆみ(かみがきあゆみ)Profile
ライター
広島を拠点に官公庁冊子や企業の記念誌、社内報、PR誌の編集・制作に携わる傍ら、メールマガジン「仕事美人のメール作法」を配信。『メールは1分で返しなさい!』(フォレスト出版)など、メールマナー関連の著書多数。