~一方的に自分のこと、自分の用件だけを書き立てるのはNG~
神垣あゆみ かみがきあゆみ/ライター
会話で、自分のことばかり話して、人の話を聞かない人が疎まれるように、メールでも自分の意見や主張ばかりする人は敬遠されます。メールは双方向なツール。自己完結せず、相手と“対話”するためのメール対応のポイントを紹介します。
●自分の意見を通したいときほど、相手の意見を聞く
「私はこうです」「私はこう思います」「私はこうしました」。このように主語が「私」で始まる文ばかりのメールは、読む側をうんざりさせます。
自分の意見を持つことは大切ですが、自己主張が過ぎるメールは「押し付け」「押し売り」と一緒で、敬遠されるだけ。伝えたい用件や思いが、結果的に相手にうまく伝わりません。
自分の意見を通したいときほど、まずは相手の意見、考えを聞くことから始めましょう。
× 私はプランAで進めるべきだと思います。
○ プランAについてはどのようにお考えですか?
○ プランAについてのご意見をお聞かせ願えますか?
「自分はこう思う」と一方的に主張する前に、「相手はどう思っているのか?」を聞き出します。そのうえで、双方の違いや同意する点を整理していけば、お互いが納得しながら用件を進めていけるので、わだかまりもありません。
●相手を否定してかからず、受け入れることから
「自分の方が正しい」という気持ちが強いほど、断定的に決めつけたり、相手の意見を最初から否定したりしてしまいがち。自分とは異なる相手の意見を無視したり、責めたり、馬鹿にするのもいただけません。
相手を否定するのではなく、受け入れることから始めましょう。
× 私は絶対に反対です。今回はB案で進めるべきです。
○ 確かにそういう考え方もありますね。
ただ、B案についても検討する価値はあると思います。
「~の方が正しい」」「~すべきではない」と、初めから相手を否定してかからず、「おっしゃるとおりです」「確かに」「なるほど」と、相手の言い分を受け入れてから、「ほかにもこのような考え方があるのではないでしょうか」「私はこのように考えるのですが…」と別案を提示すれば、相手に意見を示しやすくなります。
●用件に入る前に、相手に歩み寄るひと言を
自分の主張を押し通すほど、感情的なメールの応戦になりがちです。感情的なメールは、売り言葉に買い言葉でヒートアップすることはあっても、解決には向かいません。「自分は間違っていない」という場合でも、客観的な視点を持ち、冷静な対応を心がけましょう。
× 私は間違っていません。そのような受け取り方をされて心外です。
○ お言葉を返すようですが、それは誤解ではないでしょうか。
「お言葉を返すようですが」の後に続く文は、「です」と言い切らず「ではないでしょうか」と問いかける形にすると表現が和らぎます。相手に意見するような時も、言葉を選び、慎重に対応することを忘れずに。
《ワンポイント》署名について
署名の基本的な要素としては、社名、部署名、名前、メールアドレスのほかに、電話番号やFAX番号の明記も。急を要するときは、メールよりも電話で対応することもあるからです。住所には郵便番号も添えておくと親切です。
神垣あゆみ(かみがきあゆみ)Profile ライター 広島を拠点に官公庁冊子や企業の記念誌、社内報、PR誌の編集・制作に携わる傍ら、メールマガジン「仕事美人のメール作法」を配信。『メールは1分で返しなさい!』(フォレスト出版)など、メールマナー関連の著書多数。 |