公開日 2012.06.28 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)
労働契約申込みみなし制度(ろうどうけいやくもうしこみみなしせいど)
派遣労働者の受け入れ先(派遣先)が、違法行為であることを知りながら派遣労働者を受け入れている場合、その時点において、派遣先が派遣労働者に対して労働契約の申し込みをしたものとみなす制度。2012年3月28日に可決成立した改正労働者派遣法において創設され、この法の施行(2012年10月予定)から3年経過後に施行されることになっている。
労働契約申込みみなし制度が適用されるのは、派遣先が次の違法行為のいずれかを行った場合である。ただし、派遣先が、次の行為に該当することを知らず、かつ、知らなかったことにつき過失がないときには、この限りでない。
(1)派遣労働者を派遣禁止業務に従事させること
(2)派遣元事業主以外の事業主からの労働者派遣を受けること
(3)派遣可能期間を超える期間、継続して労働者派遣を受けること
(4)労働者派遣法等の適用を免れる目的で、請負その他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、また、労働者派遣契約の締結において労働者派遣法26条1項に掲げる事項を定めないまま労働者派遣を受けること
労働契約の申し込みをしたものとみなされた派遣先は、当該労働契約の申し込みに係る上記の行為が終了した日から1年を経過する日までの間は、その申し込みを撤回することができない。なお、派遣先が、この期間内に承諾する旨または承諾しない旨の意思表示を派遣労働者から受けなかったときは、その申し込みは効力を失うこととされている。
この制度が導入されれば、派遣先が違法行為のチェックを厳しく行うようになるため、労働者派遣の適正化が進むものと考えられている。