高年齢雇用継続給付

公開日 2012.08.29 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)

高年齢雇用継続給付(こうねんれいこようけいぞくきゅうふ)

 65歳までの継続雇用の促進、および高年齢者の生活の安定を図るため、60歳到達時等の時点に比べて賃金が75%未満に低下した状態で働き続ける60歳以上65歳未満の一般被保険者に対して、雇用保険から給付金を支給する制度。
 高年齢雇用継続給付には、次の2種類がある。

(1)高年齢雇用継続基本給付金
被保険者であった期間が通算して5年以上ある雇用保険の一般被保険者が、60歳到達後も継続して雇用され、60歳以後に支払われる賃金が、60歳に達した日を受給資格に係る離職の日とみなして算定された賃金日額(「みなし賃金日額」)に30を乗じて得た額の75%未満となった場合、支給対象月(65歳に達する月まで)について支給する。
(2)高年齢再就職給付金
失業給付の基本手当を受給している者が、60歳以後に再就職し、再就職後の各月に支払われる賃金が当該基本手当の基準となった賃金日額に30を乗じて得た額の75%未満となったとき、一定の要件を満たす場合に支給される。支給対象期間は、再就職した日の前日における失業給付の基本手当の支給残日数が200日以上のときは再就職日の翌日から2年を経過する日の属する月まで、100日以上200日未満のときは同様に1年を経過する日が属する月までである(ただし、被保険者が65歳に達した場合は、その月まで)。

 両給付金とも、支給額は、次のとおり算定される。 
①支払われた賃金額が60歳到達時の賃金額の61%以下の場合
  支給額=支給対象月の賃金額×0.15
②支払われた賃金額が60歳到達時の賃金額の61%を超え75%未満の場合
  支給対象月の賃金額に次の支給率を乗じた額
   支給率=(-18300×低下率+13725)÷(28000×低下率)
③支払われた賃金額が60歳到達時の賃金額の75%以上の場合
  支給されない

 ただし、60歳到達時等の賃金月額が上限額(45万600円)以上、または下限額(6万9600円)未満の場合、賃金日額ではなく、上限額(下限額)を用いて支給額を算出する。また、支給対象月に支払われた賃金が上限額(34万3396円)を超え、または高年齢雇用継続給付として算定された額が下限額(1856円)を下回る場合には、高齢者雇用継続給付は支給されない(表示した金額は2012年8月1日現在のもの)。