公開日 2012.10.01 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)
40歳定年制(40さいていねんせい)
2012年7月、野田内閣のもとで開催された国家戦略会議フロンティア分科会が『フロンティア分科会報告書』の中で示した、定年年齢を40歳に引き下げる考え方。
この報告書の中では、人口減少が見込まれる日本においては、一定の経済規模を維持していくうえで一人ひとりの能力を高めて生産性を高めることが重要であり、そのためには「企業内人材の新陳代謝を促す柔軟な雇用ルールを整備するとともに、教育・再教育の場を充実させ、勤労者だれもがいつでも学び直しができ、人生のさまざまなライフステージや環境に応じて、ふさわしい働き場所が得られるようにする」ことを提言している。その具体策として、「何歳でもその適性に応じて雇用が確保され、健康状態に応じて、70 歳を超えても活躍の場が与えられる」ことを前提に「40 歳定年制や50 歳定年制を採用する企業があらわれてもいいのではないか」と、定年年齢の引き下げを容認する考え方を示した。
「40歳定年制」は、日本におけるこれからの「人財戦略」を考える選択肢の一つとして示されたものにすぎないが、これを記した報告書の公表と同じ時期に、原則として希望者全員の60歳定年後の継続雇用を事業主に義務付ける改正高年齢者雇用安定法が成立したこと、また、大手企業が業績不振により人員削減策を実施したこと等から、この言葉を「高齢者の雇用を保護する一方で中年・若年層の雇用に対する厳しい考え方を認めたもの」、「リストラを常態化するもの」と捉える論調が広がり、マスコミやインターネット上で取り上げられ、大きな話題となった。
【参考】
国家戦略会議フロンティア分科会『フロンティア分科会報告書』
http://www.npu.go.jp/policy/policy09/pdf/20120706/hokoku1.pdf
フロンティア分科会 繁栄のフロンティア部会『繁栄のフロンティア部会報告書』
http://www.npu.go.jp/policy/policy09/pdf/20120706/hokoku2.pdf