2019年12月16日掲載

企業ZOOM IN⇔OUT - 日立製作所

自社開発のサーベイによる社員の「意識データ」と
各種「行動データ」を掛け合わせて分析し、
生産性の最大化を図る施策を展開

先進的な取り組みをしている企業の現場をレポート

[企業ZOOM]INOUT

会社概要:1910年創業。長い歴史の中で培ってきたITとOT(制御・運用技術)、プロダクトの強みを生かし、「2021中期経営計画」を通じて社会や顧客の課題を解決する社会イノベーション事業をグローバルで加速し、デジタル技術を活用した社会インフラの提供を推進。「モビリティ」「ライフ」「インダストリー」「エネルギー」「IT」を成長分野と定め、各分野におけるグローバルトップポジションを目指す。

本社:東京都千代田区丸の内1-6-6
資本金:4587億9000万円
社員数:従業員数:29万5941人(連結)
<2019年3月末現在>
https://www.hitachi.co.jp/

取材対応者

働き方改革ソリューション本部 働き方改革デジタルサービス部
部長 饗庭(あいば)健司氏
主任技師 園田英史氏

 

ポイント

ホワイトカラーの生産性向上:総コスト最小化のための「効率的な働き方の実現」はスタートラインにすぎない。今後は生産性(社員・組織の生む付加価値)を最大化する「創造的な仕事へのシフト」が問われる

独自開発した二つのサーベイ:「生産性向上の意識のモデル」「配置配属フィット感のモデル」に基づき、生産性に対する意識状態を測る「生産性サーベイ」、配属されている組織に対するフィット感を測る「配置配属サーベイ」という2種類のサーベイを開発

「意識×行動」データを掛け合わせて分析:二つのサーベイより取得した「意識データ」と、社員の勤怠状況や社員間のコミュニケーション量等の「行動データ」を、掛け合わせて分析することで、個人と組織の活性化に向けた具体的な施策を策定

「金曜ノー会議デー」:「意識×行動」データ分析により、金曜日の時間外労働量と生産性のマイナスの相関関係を発見。金曜日の会議を減らし、業務時間を創出する呼び掛けにより生産性向上効果が生まれる

来場型体感サービス:自由なアイデアを生むブレスト(ブレインストーミング)会議をデジタル技術によって活性化。顧客の働き方改革を促進する来場型体感サービスを同社施設で提供

1.はじめに

 採用精度の向上に向けた人財分析の導入、社員行動データの計測・可視化によるコミュニケーション改善など、人事領域でのデータ分析やテクノロジー活用をいち早く進めてきた日立製作所。こうした社内での取り組みと実績は、同社の新たなソリューション開発にも脈々と活かされている。
 同社では、独自開発したサーベイで測定した社員の「意識データ」と、勤怠状況や労働時間等の各種「行動データ」を掛け合わせて分析することで、それまで認識していなかった組織運営上の課題を可視化し、社員と組織の活性化を図る"データドリブン"での取り組みを進めている。本記事では、サーベイに基づくデータ分析を起点として施策を実施し、効果測定するというサイクルを回すことで、実効性の高い働き方改革を進めた同社の特定事業部門の取り組みを紹介する。

[注]同社の採用におけるデータ活用に関しては、『労政時報』第3941号(17.11.24)で紹介している。

2.ホワイトカラーの生産性をどう向上できるか

 より生産性の高い働き方を実現する新たなサービスを生み出す。その課題に取り組む同社の働き方改革ソリューション本部では、自社を実行モデルとして、"社員一人ひとりの働く上での意識"のサーベイ結果と行動データ(勤怠データ、パソコンの起動ログ……等)と掛け合わせて分析を行い、その結果を共有・フィードバックするとともに、各事業本部の人事部門と緊密に連携しながら改善に向けた施策立案と運用を行っている[図表1]

[図表1]社員一人ひとりの働く意識を測定し、働き方改革を加速

「働き方改革に向けて、多くの企業で労働時間削減を当面の最優先課題としています。しかし、これは本来スタートラインにすぎないと考えています。取り組みのゴールは、"付加価値を生む仕事"の純度を高めることです。ホワイトカラーの従業員であれば特に、労働時間の削減を通じて個人の成長のための時間を創出し、イキイキと働いてもらうことで挑戦意欲・創意工夫を高め、生産性を高めることこそが、今後一層重要になってきます」(饗庭氏)
 働き方改革ソリューション本部では、ホワイトカラー従業員の生産性向上を[図表2]のように解釈した。

[図表2]ホワイトカラー従業員の生産性向上をどう実現するか

「生産性を高めるためには、総コストを最小化する――つまり『効率的な働き方の実現』と、付加価値を最大化する『創造的な仕事へのシフト』の双方が求められます。今後は特に、付加価値を高めるための『人財づくり』の進展が課題になってくると考えます」(饗庭氏)

3.「生産性向上の意識モデル」「配置配属フィット感のモデル」と、独自開発した二つのサーベイ

 サーベイの開発に当たり、まず「生産性向上の意識モデル」および「配置配属フィット感のモデル」を策定した。
 「生産性向上の意識モデル」[図表3]は、生産性向上に影響を与える要因を大きく「組織因子」と「個人因子」に分け、「組織因子」が「個人因子」に影響を及ぼす関係性を図式化したものだ。組織因子は「意思決定過程浸透性」「自律尊重性」「成長支援性」「目標明確性」「働き方許容性」の5尺度、個人因子は「挑戦意欲度」「多様性関心度」(以上は「創造性次元」の尺度)、「役割理解度」「成果意識度」「計画段取度」(以上は「効率性次元」の尺度)、「心身調整度」――という計6尺度から構成される。

[図表3]生産性向上の意識モデル

 一方、「配置配属フィット感のモデル」[図表4]では、組織因子は「成長促進性」「環境快適性」(以上は「処遇・環境の適切性」の尺度)、「役割明確性」「価値観調和性」(以上は「業務内容の適合性」の尺度)、「相互尊重性」(「人間関係の適応性」の尺度)の5尺度、個人因子は「役割意味理解度」「評価処遇納得度」(以上は「処遇・環境の適切性」の尺度)、「組織貢献意識度」「特性希望適合度」(以上は「業務内容の適合性」の尺度)、「対人関係安心度」「相互刺激感知度」(以上は「人間関係の適応性」の尺度)――という計6尺度から構成される。

[図表4]配置配属フィット感のモデル

 これらのモデルを基に、独自の測定方法に基づいて生産性に対する意識状態を測る「生産性サーベイ」と、現在配属されている組織に対するフィット感を測る「配置配属サーベイ」という2種類の従業員向けサーベイを、筑波大学の学術指導を受け自社開発した。
 「生産性サーベイ」では、社員一人ひとりが生産性高く働けているか、生産性が高い組織だと思っているかという意識状態を明らかにする。個人の意識は、「挑戦意欲」や「役割理解」などの観点から定量化する一方で、個人の集合体としての組織の生産性も可視化する点が特徴となる。また、「配置配属サーベイ」では、所属組織にフィット感を抱いて働いているか、組織風土がそれを促進する状態にあるかを明らかにする。
 サーベイ結果は、社員一人ひとりの意識に寄り添ったコメントを記載した報告書(分析結果による特徴、およびアクションプランを提示したもの)に取りまとめ、解釈用資料とともに各人へフィードバックする。併せて、組織のマネジャーや事業本部人事向けにも別途報告書が作られる。
「社員自身も気づいていなかった意識を可視化し、行動変容を促すフィードバックを行えることが、本サーベイの大きな特徴です。個人報告書では、社員ごとに優れた点を挙げる一方、今後注意するべき点を明記し、今後に向けたアドバイスも記載します。さらに、マネジャークラスの社員には組織単位の報告書を提供して、自部署の組織変革のために活用してもらいます。なかなか実態を認識しにくい『生産性』を数値として可視化することで、現場の社員やマネジャーが自律的に働き方改革を促進することが狙いです」(園田氏)
 分析結果に基づいて、各事業本部の人事部門では意識変革に向けたアクションプランを策定する。例えば、重点対応が必要な部署や個人に対しては、研修の提供やキャリア面談の実施、マネジャー向けワークショップといった施策を行う。
 このほか、各サーベイの分析結果は、マネジャーとその部下が1対1で向き合い、幅広いテーマについて対話する「1on1ミーティング」の場で部下育成の支援ツールとしても活用される[図表5]

[図表5]1on1ミーティングによる部下育成

「サーベイによって測定されたそれぞれ11個の因子が共通言語化され、また因子ごとの強みや弱みを上司と部下で共有することで、上司は具体的に部下の成長への伴走が可能になり、1on1ミーティングの質的向上が図られました。また、働き方の許容性が高まり、在宅やサテライト勤務が増えることで、フェース・トゥ・フェースでコミュニケーションできる量的時間は減少しますが、それを補い、忙しいミドルマネジャーのマネジメント支援をすることが可能になる非常に有効なツールであることを確認できました」(園田氏)

4.意識データと行動データを掛け合わせて分析

 同社では、二つのサーベイで取得した社員の「意識データ」と、勤怠状況や組織におけるコミュニケーション量等の「行動データ」を掛け合わせて分析し、さらに実効的な課題抽出につなげている[図表6]。その際、社員の属性データ、出張履歴、パソコンのアクセスログ、メールの送受信状況のデータなど、計測可能なあらゆるデータが「行動データ」として用いられる。
「サーベイより取得した個人の『意識データ』と、勤怠記録等に基づく『行動データ』を掛け合わせて、人工知能技術も活用して分析することで、生産性向上に寄与する、あるいは阻害する要因を個人と組織の両面から導き出すことができます。このプロセスで、従来は気付かなかった職場の課題を発見するケースも多く出ています。例えば、サーベイで得られた『生産性に関する意識』と、それぞれの社員の残業時間量の2軸で分析したところ、金曜日の残業時間と生産性データにマイナスの相関のあることが分かりました」(園田氏)

[図表6]「意識データ」×「行動データ」分析で浮かび上がる課題

5.データ分析により生まれた施策

 サーベイを実施し、「行動データ」との掛け合わせ分析を行い、具体的な施策を検討・導入した上で、さらに次回のサーベイで効果検証する――というプロセスを経年的に繰り返すことで、社員の意識変革と生産性向上につなげることが可能となった[図表7]。2018年度には、同社の一部組織に所属する社員、約7700人を対象にサーベイを実施。一部組織では、分析結果に基づいて、同年度中にさまざまな施策をトップダウン・ボトムアップ形式で展開した。

[図表7]サーベイ実施、データ分析を起点とした施策の実施と効果検証

 まず、トップダウン形式の施策をまとめたのが[図表8]である。

[図表8]サーベイ結果を踏まえたトップダウン施策例

施策名 目的/施策の詳細 備考
Will-Can-Must
コミュニケーション
業務のフィット感を高める為に上司が部下のやりたいことやキャリアプランを引き出し、それを意識して業務目標を設定するWill-Can-Mustコミュニケーションを実施 18年11月・12月トライアル実施
19年4月~全面実施
金曜ノー会議デー 金曜に年休を取りやすくすることおよびPAの"週後半の残業割合が低いと創造性・効率性が高い"という結果を受け、金曜に会議を実施しないように呼び掛けた 現場での工夫

①突発的な会議は仕方ないが、定例会は実施しないようにした

②従来打ち合わせを行っていた関係部署を巻き込んで、曜日変更を実施した

テレワーク推進 PAから"移動回数が多い人ほど創造性・効率性が向上する"という結果が出たため、仕事をする場所の制約をなくし、テレワーク環境を整備 共用SPC貸出やヘッドセット貸出により、在宅や外出先での勤務やSkype会議の実施を後押しした
タウンホールミーティング 従業員に対して事業方針を説明し、会社の方針を理解してもらう機会を創出

上期:セグメントごとに事業方針説明
+パネルディスカッションを実施

下期:各本部ごとに事業方針説明
+パネルディスカッションを実施

[注]PA:同社における「ピープル・アナリティクス」の略。
SPC(シンクライアントパソコン):アプリケーションソフトや重要データを内蔵ストレージ内に蓄積しないことでセキュリティ対策を図るコンピューター端末

 2018年度に実施したサーベイでは、若手社員に関して、"新たな課題に挑戦する意欲"等を表す個人因子「挑戦意欲度」や"多様な働き方を容認する"組織因子「働き方許容度」が、全体平均に比べて低い――という傾向が見られた。
 この結果を受け、「管理職コミュニケーション研修を実施し、学んだ"Will-Can-Mustコミュニケーション"を部下との面談で実践する」「金曜ノー会議デーを実施」「サテライトオフィスの拡充、モバイル端末貸し出し等のテレワーク推進施策を実施」等の施策を複合的に進めたところ、若手社員について個人因子の「挑戦意欲度」の平均値が上昇するとともに、組織因子の「働き方許容性」も全体的に大きく向上した。さらには、残業時間減少や年休取得増加、配置配属のフィット感の向上にも効果が見られた。
 特に効果が高かったのが、「金曜ノー会議デー」の取り組みである。まず、サーベイによって「週後半の残業が多い人は創造性・効率性が低い傾向にある」という分析結果が出ていた。さらに、社内で用いるスケジュール管理ソフトに入力された会議の開催情報とそれに参加するための移動時間といったデータを掛け合わせて分析したところ、定例会議を設定している曜日と、会議に参加している社員の時間外労働量に有意な相関関係が見られた。
 これらを受けて、"金曜日の会議を減らし、業務時間を創出する"ことを推奨するという呼び掛けを、五つの本部を対象に行ったところ、以下のような変化が見られた。

・会議の減少:会議回数全体、他の曜日と比較した金曜日の会議回数がともに減少

・全体的な年休取得の増加、時間外労働時間の縮減

・「生産性サーベイ」のすべての因子が前年度より改善(特に個人因子の「役割理解」、組織因子の「働き方許容性」が大きく改善)

 一方で、職場単位にも効率的な働き方の実現や、サーベイ結果から見た自職場課題に対応したボトムアップ形式の施策も多数展開している[図表9]。社内スケジュール管理ソフトに年休計画を事前登録することを社員に呼び掛ける「年休見える化」等の施策の一方で、同僚のちょっとした貢献にスポットを当てる「本部内ミニ表彰」といった職場レベルでの活性化策も進めている。

[図表9]効率的な働き方やサーベイ結果を踏まえたボトムアップ施策例

区分 施 策 内 容
年休取得 年休見える化

・スケジューラーへの年休計画事前登録

・年休公開ページ・部の掲示板立ち上げ

年休取得月間

・職場年休取得月間、年休取得推奨weekの設定

プロジェクト休暇

・個別に労いの言葉を掛けつつ「お疲れ様休暇」の取得促し

・各開発プロジェクトの作業完了時期の近辺に対して、「プロジェクト休暇」推奨

休む理由(イベント)作り

・休みやすい雰囲気・状況作り(午後半休を利用したイベント開催等)

残業縮減

定例会議の削減

・ツール活用による情報共有等による定例会議削減

移動時間縮減

(下記「リモートワーク」に同じ)

効率的なレイアウト変更

・職場内のレイアウト(マシン室・執務エリア)変更(職場と人のつながりを考慮)

業務の自動化

・RPA活用による自動化推進

・Teamsの活用やレビュー支援システムの適用

リモートワーク 有効ツール勉強会

・Skype・Sharepointに加えTeamsの部課長も含めた勉強会実施

Skype会議

・拠点間Skype会議の推奨

利用目標設定

・テレワーク、サテライト利用促進にむけた利用回数目標の設定と実績集計

表彰 ミニ表彰

・本部内ミニ表彰(ちょっとした貢献にスポット)[四半期ごと]

コミュニケーション 交流サロンの開催

・普段交流ない人のパーソナリティを知る機会・場の設定(知る・聞く・伝える)

[注]Teams:マイクロソフト社のグループチャットツール。

6.取り組みの効果

 同社では、社員の意識データと各種行動データを掛け合わせて分析する取り組みの導入メリットとして、以下の3点を挙げている。

①人材をデータで捉え・分析することで、客観的に現状を把握できる
 …組織の人材データについて、統計手法を駆使して可視化することで、現在の個人と組織の状態をデータから把握でき、施策に活用可能
②個人の意識を可視化し行動変容を促す
 …「全回答者へ個人の状態に適したアドバイスをフィードバックする」「マネジャー層へ自身のチームメンバーの状態をレポーティングする」ことにより、個々人の特性に合った施策検討に活用可能
③「意識×行動」データの分析により組織マネジメントの変革を促す
 …「生産性サーベイ」「配置配属サーベイ」の二つのサーベイで取得した個人の意識データと、残業時間等の行動データを掛け合わせて人工知能も用いて分析することで、具体的な施策まで落とし込んだ組織文化マネジメントの遂行が可能になる

「当社における取り組みは、社員の意識と行動の双方を改革するものです。サーベイの実施やデータ分析を経て実施した施策は、労働時間を削減する効果が出ており、結果として2度目に実施した生産性サーベイの数値も向上しています。2018年度の労働時間状況を2015年度と比較したところ、サーベイの実施対象部門で見た平均で、時間外労働時間では1人1カ月平均6.1時間減少、年休取得日数では同じく年間4.0日の増加が見られました。もちろん、こうした数字に表れた効果について、すべてが分析結果に基づく施策だけの結果とは言い切れませんが、時間外労働の削減と年休取得数増加で、平均すると1カ月につき約1日分の時間創出につながった――各種の効率的な働き方を行ったことでゆとり時間が生まれ、付加価値を高める人財づくりができることから、分子・分母両面の取り組みが必要であると捉えています」(饗庭氏)
 一方で社員からは、「定例会議を削減して、昼間に集中して設計を進められるようになった」「上長が定時後に会議を入れないよう、関係者に周知してくれた」「課長が定時に帰ろうと呼びかけてくれたため、定時退社に後ろめたい雰囲気がなくなった」「上長から在宅勤務日は残業禁止という職場内ルールが示されたため、業務の段取りを以前より意識するようになった」といった、効果を実感する声が多く上がっているという。

7.ソリューションとして他社へも提供

 ここまで紹介したように、サーベイで測定した社員の「意識データ」と、勤怠状況や労働時間等の各種「行動データ」を分析した結果に基づく施策は、既に同社内で一定の成果を生み出している。同社では、社内での導入を経て、現在は顧客企業の課題解決に寄与するソリューションとしての提供を開始している。
 併せて同社では、顧客の働き方改革を促進するために「CHRO向け働き方改革ブレインストーミング会議/来場型体感サービス」(以下、来場型体感サービス)の提供も行っている。

《参考》CHRO向け働き方改革ブレインストーミング会議/来場型体感サービスの概要

[注]CHRO:最高人事責任者(Chief Human Resource Officer)。

 来場型体感サービスでは、同社のファシリテーターが、人財データ分析を含めた同社の働き方改革の事例紹介やデジタル技術を活用したブレスト会議を進行する。新しい発想を得るために、参加者が自由に意見やアイデアを出し合うブレスト会議は、時に「建設的な意見がなかなか出てこない」「議論が散漫になってしまう」「重要なアイデアなのに十分に共有されることなく流れてしまう」といった状況に陥りがちだ。
 本ツールでは、着席したポジションで、誰が発話した意見かも含めて議論がモニターにテキスト表示される。現在議論中のテーマや話題の変化を視覚的にも整理しやすくなる。また、あらかじめ設定したキーワードを含む発言は画面横にストックされるなど、ブレストの効果的運用をサポートするさまざまな機能が盛り込まれている。
「多くの企業で、大きなホワイトボードを用いてブレストを行っていますが、この方式ではすべての発言が拾われるとは限りません。"何を"発言したかではなく、"誰が"発言したかによって、話の流れが誘導されてしまうケースもあります。しかし、ブレスト会議の高度化ツールは"ワン・オブ・ゼム"(その他大勢)になってしまう参加者を出しません。日立製作所 中央研究所の「協創の森」では、特設のブースで、本ツールを使用しながら働き方改革に関するブレストを体験することもできます。ブレスト専用の会議スペースという空間設定も重要で、自由なアイデア出しに向けたモチベーションがおのずと高まります。こうしたツールを活用することで、嫌な会議を減らすだけではなく、楽しく生産的な会議を増やす取り組みも可能なのではないかと考えています。個々の人財の価値やモチベーションを高め、働き方改革を通じて、新たなアイデアや付加価値の創出、競争力の強化といった従業員にイノベーションを起こさせたいとお考えのCHROや働き方改革推進責任者のお客さまに、来場型体感サービスをお試しいただきたいです」(園田氏)