左官の仕事に就いていた静岡市の岩崎弘さん=当時(56)=が肺がんを患い、2004年に死亡したのは建設現場のアスベスト(石綿)に対し国が適切な措置を取らなかったのが原因として、遺族3人が国に3850万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁(小池あゆみ裁判長)は23日、825万円の賠償を命じた。
建設アスベストを巡っては、全国6地裁で各地の元労働者や個人事業主「一人親方」による集団訴訟が起こされ、国や建材メーカーの責任を広く認める判断が定着しつつある。
訴状によると、岩崎さんは1961~2003年、静岡市などで建設会社に勤務したほか、一人親方としても働き、石綿を含む混和剤をセメントに混ぜる作業などに従事。この間に粉じんを吸い、04年1月に肺がんで死亡したとしている。
岩崎さんは10年3月に労災認定された。遺族側は防じんマスクの使用を義務付けるほか、石綿関連の疾患について教育する義務があったのに怠ったなどと主張している。
(共闘通信社)