2020年04月10日掲載

BOOK REVIEW - 『サーベイ・フィードバック入門 「データと対話」で職場を変える技術』

中原 淳 著
立教大学経営学部 教授 
A5判/235ページ/1950円+税/PHP研究所 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊

 「サーベイ・フィードバック」とは、サーベイ(組織調査)で得られたデータを適切に現場に届け(フィードバック)、現場の変化・職場の改善を導く技術のことを指す。今日において、多くの企業現場でサーベイ・フィードバックが求められている背景には、「多様化する職場メンバーをマネジメントしなければならないこと」「慢性的な人手不足のなか、社員のエンゲージメントを高めて離職防止を図り、生産性を高めたい」という二つの要因がある、と筆者は指摘する。本書は、サーベイ・フィードバックの在り方について、理論から企業における実践事例まで包括的に説いていくものだ。

 そもそもサーベイ・フィードバックでは、以下の三つのステップを踏むことが基本となる。①サーベイを通じ自分の職場・チームの問題を「見える化」すること、②サーベイによって明らかになったデータに現場の人々が向き合い対話を行う「ガチ対話」、③自分たちの将来の在り方を自分たちで決めアクションプランを得る「未来づくり」。「ガチ対話」と「未来づくり」は合わせて「フィードバック・ミーティング」と呼ばれることもある。フィードバック・ミーティングを成功させるための六つのステップを第4章で詳細に解説している。

 「自分でサーベイをつくることは可能か?」「険悪な雰囲気のミーティングはどうすべき?」など、サーベイ・フィードバックを進める上で浮かびがちな疑問を、「現場マネジャー向けのポイント」として随所で解説しており、かゆいところにも手が届く内容となっている。さらに、最終章では企業実践事例として、メルカリ、パナソニック、デンソーの3社を取り上げており、サーベイ・フィードバックを実践する上でのヒントを豊富に学ぶことができる。各企業で現在行っているサーベイ・今後行うサーベイを有効活用するために、本書を一読することをおすすめしたい。

 



サーベイ・フィードバック入門  「データと対話」で職場を変える技術

内容紹介

サーベイ・フィードバックとは? サーベイ=組織調査などで得られたデータを、フィードバック=現場に正しく届けて変革を導く。「勘と経験」に頼れない、現代の管理職の必須スキルにして、これからの職場の「新常識」となる、「データとの対話」で職場を変える技術を学ぶ『これからの組織開発の教科書』!