2020年04月10日掲載

BOOK REVIEW - 『マネジメントスキル実践講座―部下を育て、業績を高める』

大久保幸夫 著
リクルートワークス研究所 アドバイザー 
A5判/174ページ/定価1600円+税/経団連出版 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊


 ダイバーシティが叫ばれる時代の中で、企業は多様な人材の活用を進めている。それに伴い、管理職には、さまざまな属性、個性を持った部下をマネジメントすることが求められるが、マネジメントスキルを学ぶ機会はそう多くない。本書は、リクルートワークス研究所を立ち上げ、20年にわたり人事やキャリア、労働政策について研究してきた著者が、マネジメントスキルを体系的に記した実践書である。

 第1章では、ウォーミングアップとして、「マネジメントとはどういう仕事か」「なぜ重要なのか」などの基本を確認する。続く第2章では、山本五十六や松下幸之助、P.F.ドラッカーなどの先人が残したマネジメントに関する言葉を紹介し、それを基に五つの原理原則を提示する。ここでは、「すべての関係者の強みを知る」「やって見せて、真似(まね)させる」など、環境が変化する中でも変わらない、重要な考え方が示されている。第3章では、この原理原則を発展させ、日常のマネジメントサイクルの中でどう展開すればよいのかについて、科学的な視点から検討していく。

 冒頭で述べた多様な部下のマネジメントについては、第4章「ダイバーシティ&インクルージョン」で解説する。非正規雇用者、仕事と育児の両立支援、高齢者、外国人、性的マイノリティー(LGBTs)など、対象ごとにインクルージョンをどう実現していくか深掘りしていく。そして、最終第5章では、マネジャーが持つべき価値観やスタンスなどが「マネジメントの哲学」という形でまとめられている。マネジメントスキルの基礎から実践方法までを体系的に学ぶことができる一冊であり、管理職として働くすべての人にお勧めしたい。

 



マネジメントスキル実践講座―部下を育て、業績を高める

内容紹介

今日、マネジメントを学ぶ機会は意外と少なく、多くの管理職は、見よう見まねで試行錯誤しながら、なんとかその職をこなしているのではないでしょうか。うまくできないことは、楽しくありません。そこで本書では、あらためてマネジメントを正面からとらえて整理し、だれもがマネジメントスキルを身につけ実践できるようになること、「マネジメント」の進化をめざして、その方法を詳述しました。 部下が多様化するダイバーシティ経営の時代、そして仕事の成果だけでなく効率化も求められる時代のマネジメント実践の書としておすすめします。