2020年05月15日掲載

BOOK REVIEW - 『なぜ、それでも会社は変われないのか 危機を突破する最強の「経営チーム」』

柴田昌治 著
株式会社スコラ・コンサルト 代表 
四六判/272ページ/1600円+税/日本経済新聞出版 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊


 本書著者の柴田昌治氏によるベストセラー『なぜ会社は変われないのか―危機突破の企業風土改革』は、北海道拓殖銀行や山一証券、日本長期信用銀行が相次いで経営破綻した金融危機のさなかである、1998年に刊行された。当事者意識の欠けた社員が幅をきかせている会社が危機を脱するまでのプロセスを、ケーススタディー方式で読ませる経営書として、同書は大きな注目を集めた。

 それから20年余りが経過し、多くの企業で組織風土改革が試みられてきたが、必ずしもその試みが実を結んだケースばかりではない。一方で、バブル崩壊から続く"失われた30年"は、多くの企業に「負の安定」をもたらしている。さらには、コロナ禍を原因とした不況の到来も予想されている中、危機を脱するための改革を今一度"ケーススタディー+解説"方式で取り上げたのが本書『なぜ、それでも会社は変われないのか』だ。

 著者は、組織風土改革を阻む「日本企業の病」の根源には、"混乱を避け、可能な限り予定調和でことを収めていこうとする"日本的な「調整文化」があると喝破する。社員の思考停止や、意思決定・実行スピードが遅れる原因になる調整文化から脱却するため、処方せんとして提起されるのは、"役員による挑戦型経営チーム"の構築である。会社全体で挑戦文化へ移行し、人材評価の基準も転換する――こうしたプロセスを通じ、現状維持路線を守り続ける中での「延命治療」ではない、当事者意識と新陳代謝を伴う変革を実現することができる。自社の組織風土に課題や違和感を抱いている人事担当者は、現状を変えるための大きなヒントを本書から得られるはずだ。

 



なぜ、それでも会社は変われないのか 危機を突破する最強の「経営チーム」

内容紹介

20万部を突破した『なぜ会社は変われないのか』から20年、令和の時代を迎えても、日本企業が変われないのは一体なぜ?
現状を突破しVUCAの時代を生き抜く強い組織を育てるための「経営チームビルディング」の手法について説く。