2020年06月26日掲載

BOOK REVIEW - 『ピープルアナリティクスの教科書』

一般社団法人ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会 著
北崎 茂 編著

A5判/264ページ/定価2500円+税/日本能率協会マネジメントセンター 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊

 ピープルアナリティクスとは、「人事にまつわるさまざまなデータを活用して、意思決定の精度向上や業務効率化などを実現するデータ分析手法」である。近年、HRテクノロジーが普及する中で高い注目を集めており、PwCコンサルティング調査によると、日本でも半数以上の企業が「導入予定」または「導入済み」となっている(2019年時点)。本書は、ピープルアナリティクスが求められる背景と得られる効果、具体的な手法を解説していく。

 本書の構成は大きく「解説編」と「事例編」に分けられる。前半の解説編では、ピープルアナリティクスの基礎知識、データ分析手法、実施手順に加え、導入のために必要な人事システム基盤の構築、実際の運用にかかる組織体制の観点からも解説し、ピープルアナリティクスの導入から実践、運用までを周辺領域も含めて見ていく。後半の事例編では、先駆的に取り組む9社の事例を紹介する。それぞれの企業で抱える課題とそれを解決するプロセスは異なっており、単なるデータ分析手法としてだけでなく、経営的視点、人事のキャリア的視点、従業員への支援的視点など、多角的な視点からピープルアナリティクスへの理解を深められるだろう。

 導入する企業が急速に増えているとはいえ、最終的な活用イメージの不鮮明さや既存データの粗さ、データ分析スキルの不足といった課題から、活用に踏み切れていない企業も多いと思われる。こうした課題を乗り越え、実践的に活用するためのノウハウが詰まった本書は、現在すでにピープルアナリティクスの活用を進めつつ、課題を感じている人事担当者はもちろん、これから取り組みたいと考えている方にもお勧めしたい一冊である。

 



ピープルアナリティクスの教科書

内容紹介

ビッグデータとAIが人材マネジメントの世界を大きく変えようとしています。
その主役となるのが、社員の行動データを収集・分析して、生産性の高い人材と組織に成長させる技術であるピープルアナリティクスです。この技術は既に欧米ではGAFAをはじめ多くの先進企業で導入され、成果を発揮しています。本書では、このテーマの第一人者たちが日本企業に向けて、実践法を解説します。

データドリブン型人事への変換。人の成長を科学的に支援する最新技術。企業事例9社掲載。