2020年07月10日掲載

BOOK REVIEW - 『リーダーのためのフィードバックスキル』

服部周作 著
四六判/320ページ/定価1600円+税/すばる舎 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊


 米国の大手コンサルティングファーム、マッキンゼーでの入社1年目に、著者は"フィードバック"の重要性を痛感したという。そこでは、部下やメンバーを成長させ、仕事の成果を高めるために、あらゆる場面でフィードバックが活用され、組織のカルチャーとなっていた。本書では、マッキンゼーにおける著者の実体験を出発点として、リーダーが身につけるべきフィードバックスキルを多角的に解説する。

 例えば、あらゆる仕事の場面において有効な"型"として、「フィードバックループ」という手法を取り上げる。これは、①観察し、ファクトを集める、②親身になって言い分を聴く、③自分の感情や気持ちを伝える、④「自分だったらこうする」と案を出し、行動を促す――という4ステップからフィードバックを実行するものだ。各ステップにおいて、フィードバックの質を最適化するためのノウハウが、豊富な実例に基づき詳述されている。そして、この型を踏まえ、チームとして優れた結果を出すために有効な「チームラーニング」の手法、組織としてのフォーマルな場面(プロジェクト終了時や定期評価など)においてフィードバックの成果を高めるポイント、具体的な部下との関係性の中でいかに活用し精度を高めていくかなどを深掘りしていく。

 本書で解説されているのは、「リーダーとしてチームの成果を高めるため」の、誰もがすぐに実践できる手法である。"フィードバック"と聞くと、苦手意識や義務感、効果がない、気まずいなどのネガティブなイメージを持つ人は少なくないだろう。しかし、マッキンゼーにおける著者の実感として、「できる人ほどフィードバックを欲しがって、もらってはどんどん成長していく」と述べられる。部下を育成するだけではなく、自身の成長にも寄与するフィードバックの秘訣(ひけつ)が詰まった一冊である。

 



リーダーのためのフィードバックスキル

内容紹介

マッキンゼーで若手が急速に伸びる理由はココにあった!
評価ではなく成長にフォーカス、ファクトベースを徹底し、その上でEQも取り込んだ、インパクトを最大化するフィードバックの手法を紹介。日常のインフォーマルなフィードバックから、チーム全員で行うフィードバック、組織として行うフォーマルなフィードバックまで、さまざまな場面で使える手法や仕組みを豊富な事例を交えて紹介。
フィードバックしても、「効果がない」「気まずい」「忙しいのでついつい後回し」など、部下指導やチーム・組織のパフォーマンス向上に悩むすべてのリーダー必読! 世界で一番頭のいい人たちは仕事の現場で日々どんなふうに人を育てているのか? あなたと組織の「フィードバック力」が5分でわかるチェックシート付き。