2020年07月10日掲載

BOOK REVIEW - 『社員をやる気にさせたければ その人事給与制度をやめなさい』

福田秀樹 著
福田式賃金管理事務所・株式会社福田式経営研究所 所長 
B6判/221ページ/定価1500円+税/スタンダーズ・プレス 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊

 筆者はこれまで、中小企業を中心に、300社以上の企業にコンサルタントとして関与したキャリアを持つ、いわば人事給与制度の専門家である。しかし、中小企業が「一般的な人事給与制度のフォーマット」をそのまま受け入れて運用することには異を唱える。中小企業が目指すべきは「テキトー」な人事給与制度である、というのだ。

 精緻な人事評価表を基にABC等で評価するような一般的な評価制度は、中小企業ではかえって社員の不満を買うリスクのほうが大きく、コストも時間もかかりすぎると筆者は指摘する。本書では、"鉛筆をなめながら"人事評価や給与決定を行った先代社長と、"合理的な"人事を行おうとする後継社長が比較の例として登場する。中小企業における一般的な人事給与制度の運用はどこに問題があり、なぜうまくいかないのか。「給与制度に求められる二つの社会性」とはなにか――など、筆者が多くの企業に関与する中で得た知見を基に解説が進む。先代社長の「テキトー」な人事には、実は社員の"事と情"をカバーする、合理的な面もあったのだ。

 中小企業の人事は、社内の人間関係と複雑に関係する。そのため、他社で成功した人事制度の模倣(もほう)では、自社の問題を解決できない。資源の限られた中小企業が自社に適した「テキトー」な人事給与制度にたどり着き、社員のパフォーマンスの総和を上げるための考え方について開示される、示唆に富んだ一冊だ。

 



社員をやる気にさせたければ その人事給与制度をやめなさい

内容紹介

人事給与制度はテキトーがいい!
300社以上の中小企業を実戦指導してきたオーナー社長の労務顧問が、後継社長の労務の鉄則と人事給与制度導入の勘所を教える。
悩んだ末に救いの手を求めてきた多くの経営者は、真面目で一生懸命なオーナー企業の後継社長でした。
本書では特に後継社長の「転ばぬ先の杖」として、後継社長の労務の鉄則と人事制度の導入の勘所を率直に申し述べたいと思います。