2020年08月28日掲載

BOOK REVIEW - 『タレントマネジメント入門 個を活かす人事戦略と仕組みづくり』

土屋 裕介、柿沼 英樹 著
株式会社マイナビ 教育研修事業部 事業開発統括部 統括部長/HR Trend Lab所長、 
流通科学大学 商学部 准教授 

四六判/239ページ/定価1700円+税/ProFuture 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊



 近年、導入企業が増えて注目を集めているタレントマネジメントだが、その定義や目的から実践手法までを体系立てて説明した情報は少ない。本書は、組織戦略上の重要な職務である"キーポジション"を担う(あるいは将来担い得る)人材をタレントとする「職務ベース」のタレントマネジメントについて、理論から実践までを一冊にまとめたものだ。

 本書では、タレントマネジメントを、「組織レベルの戦略や目標の達成に貢献する重要職務に、適切な人材を絶え間なく配置するための試み」であると定義する。この定義に沿って、タレントマネジメントの実践プロセスを、①方針の策定(キーポジションの特定、人材ニーズの予測)、②現状の棚卸し(需給ミスマッチの把握)、③従業員管理の実践(人材管理施策の立案と展開)、④評価とフィードバック――という4段階のモデルで示す。そして、実践のためのフレームワークやアプローチの手法、タレントマネジメントシステムの活用方法などを解説していく。

 各章の終わりには、実務家や研究者へのインタビュー、企業事例(サイバーエージェント、田辺三菱製薬やアステラス製薬、ヤフー)などが紹介されており、実務への落とし込み方がフォローされている。著者は、「タレントマネジメントの実践手法に、あらゆる組織で有効に機能する唯一のベストプラクティスがあるわけではない」と繰り返すが、自社における最適な形を模索する上で必要な"軸"となる知識や知恵が、本書には詰めこまれている。

 



タレントマネジメント入門 個を活かす人事戦略と仕組みづくり

内容紹介

「タレントマネジメント」とは、自社の従業員や従業員の持つ能力に着目し、採用・配置・育成といった人事施策を統合的に実施する人事管理手法のことで、従業員一人ひとり、ひいては組織全体のパフォーマンスを最大化することを目的としています。
本書では、人事領域で話題にあがる機会が多いにもかかわらず、曖昧に解釈してしまいがちな「タレントマネジメント」の定義・理論・実践について、学術的視点と実務的視点の双方から解説します。
「タレントマネジメント」の体系的な学習におすすめの一冊です。