2020年09月11日掲載

BOOK REVIEW - 『心理的安全性のつくりかた』

石井 遼介 著
株式会社ZENTech 取締役、一般社団法人 日本認知科学研究所 理事 
四六判/336ページ/1800円+税/日本能率協会マネジメントセンター 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊


 Googleのリサーチチームは、2012年より4年の歳月をかけ、「効果的なチームは、どのようなチームか」を調査・分析した。その結果、「誰がチームのメンバーであるか」よりも「チームがどのように協力しているか」が重要であることが分かり、ここから「心理的安全性」の重要性が世に知れ渡った。本書では、心理的安全性を、「組織やチーム全体の成果に向けた、率直な意見、素朴な質問、そして違和感の指摘が、いつでも、誰もが気兼ねなく言えること」とした上で、よりよい組織へ変革したいと思う読者へ向けて深掘りしていく。

 心理的安全性研究の第一人者であるハーバード大学のエドモンドソン教授が発表した「心理的安全性を計測する七つの質問」について、筆者は慶應義塾大の前野隆司教授と共に日本版を開発している。この尺度による計測から、日本の組織では、①話しやすさ、②助け合い、③挑戦、④新奇歓迎の四つの因子があるとき、心理的安全性を感じられることが見えてきたという。こうした分析を受けて、心理的安全性を阻む組織の歴史、またそれによって形作られる「関係性・カルチャー」に着目。「関係性・カルチャー」を変えるため、チームと状況に合わせてリーダーシップを使い分ける「心理的柔軟なリーダーシップ」を提案する。

 中盤からは「心理的柔軟なリーダーシップ」を志すリーダーに向け、組織の一人ひとりの行動を変容させ、一つ一つの反応や行動を心理的安全性につながるものへ変えるための「行動分析」について解説する。さらに巻末には、読者特典としてチームの心理的安全性を計測するWebサービス「SAFETY ZONE®」の無料版への案内があるため、自分が所属するチームの心理的安全性を計測することができる。本書は、自組織の「心理的安全性」について今一度考え、現状を知るための手引きとなるだろう。

 



心理的安全性のつくりかた

内容紹介

いま組織・チームにおいて大注目の心理的安全性とは「何か」から、職場・チームで高めるアプローチ方法までをつかめます!
Googleのプロジェクトアリストテレスで、チームにとっての重要性が一気に認知された「心理的安全性」。
本書では、この心理的安全性を理解し、心理的安全性の高い職場を再現できるためのアプローチについて、日本企業の心理的安全性を研究してきた著者が解説します。