2020年09月11日掲載

BOOK REVIEW - 『コンフリクト・マネジメントの教科書 職場での対立を創造的に解決する』

ピーター・T・コールマン、ロバート・ファーガソン 著
鈴木 有香、八代 京子、鈴木 桂子 訳
A5判/376ページ/定価2800円+税/東洋経済新報社 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊



 企業は、従来の"日本人""正社員""男性"という同質性の高い集団から、バックグラウンドの異なる人々が集まる場になりつつある。このように多様性に富む集団の中では、個人の意見の相違や対立が日常的に起こることについて、誰しも思い当たる事例があるだろう。本書はこれらの"コンフリクト"(対立、衝突)に適切に対応し、建設的な結果を出すための手法である「コンフリクト・マネジメント」について、多くの学術的調査・研究を行う著者ら(コールマン氏はコロンビア大学教授、ファーガソン氏は心理学者でありビジネスコンサルタント)によりまとめられた一冊だ。

 第1章から第2章では、コンフリクト・マネジメントの理解に欠かせないパワー(権力)の問題を解説する。コンフリクトの場でパワーの強い者、弱い者が陥りやすい罠を多くの例で示している。続く第3章では相手との関係を基にコンフリクトの状況を七つに分類する。そして各状況に対して最適なマインドセット(著者は「仁愛」「支配」「サポート」「譲歩」「自立」「協調」「競合」と名付ける)を定義し、これに基づく七つの戦略の紹介が続く。ここまでが本書の理論編である。

 第4章から第10章までは実践編として、七つの戦略それぞれにおいて、具体的な10の戦術を提示していく。また、実践編では各章末に、その章で習得した交渉スキルを確認するチェックシートを設けているため、現状確認に活用できる。コンフリクト・インテリジェンスを高め、対立の危機をチャンスに変えるためのヒントを本書からつかんでほしい。

 



コンフリクト・マネジメントの教科書 職場での対立を創造的に解決する

内容紹介

ダイバーシティ、複雑化する働き方の時代、異なる立場や意見の人々に配慮し、どのようにうまくやっていくべきか?
状況をいかに読み解き、「権力」「感情」「変化」を理解して、自分や組織を活性化していくべきか?
昨今注目されるビジネス現場の必須スキルとマインドセットを、世界の第一人者が解き明かす。
7つの戦略と70の戦術、チェックリストなど、すぐに使えるメソッドが充実。