2020年09月25日掲載

BOOK REVIEW - 『組織と働き方を「変える・変えない・先延ばす」さて、どうする?』

上村紀夫 著
株式会社エリクシア代表取締役・医師・産業医・経営学修士(MBA) 
四六判/256ページ/定価1580円+税/クロスメディア・パブリッシング 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊

 近年の「働き方改革」による人々の意識や社会情勢の変化は、2020年の新型コロナウイルス感染流行によってさらに加速した。そんな中、経営者や人事担当者は「社員の健康や柔軟な働き方への対応と事業保全」に関し、モヤモヤとした思いを抱えている――と著者は指摘する。本書では、①なし崩し的な組織運営の変更が固定化されてよいのか、②社員と経営層の感覚のズレは埋められるのか、③会社はどこまで社員に配慮する必要があるのか、という組織と働き方にまつわる悩みを"三大モヤモヤ"として取り上げる。

 前半の第1章から第3章では、社会情勢の変化が組織に与える影響を整理し、三大モヤモヤそれぞれの正体を解説する。後半の第4章から第6章では、人事施策が社員や組織、社会に与える影響の分析方法として、独自に考案したツール「PPPフレーム」を提示し、施策の導入判断をロジカルに行う方法を紹介する。産業医として従業員の声に、経営コンサルタントとして経営側の意見に応えてきた筆者の経験に基づき、実践的な目線と組織活性へのつながりを重視しながら分析を進めていく。

 在宅勤務やフリーアドレスといった、一見すると柔軟な働き方への配慮といえそうな施策でも、組織の生産性や価値創出という視点で考えると、自社にとって有効かどうかは検討が必要かもしれない。筆者が本書で提示する分析方法は、施策検討の判断基準を具体的に見える化し、勇気を持って「変える」、時には「変えない」という判断を下すための論理的な手段として、多くの会社で活用できるだろう。

 



組織と働き方を「変える・変えない・先延ばす」さて、どうする?

内容紹介

先の読めないこの時代、悩める組織を救うのは「フレームワーク分析」。
社会情勢が組織運営に与える影響のメカニズムを解明し、人事施策にまつわる問題を整理。
人事施策が社員、組織、社会に与える影響の分析方法も紹介する。
経営者・産業医・コンサルタントとして多数の企業をサポートしている著者の経験による、最も実践的で効果の高い組織改革指南書。