2020年09月25日掲載

BOOK REVIEW - 『エンゲージメントを高める場のつくり方』

広江朋紀 著
株式会社リンクイベントプロデュース ファシリテーター 
四六判/272ページ/定価1700円+税/同文舘出版 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊


 新型コロナウイルスの感染拡大により在宅勤務が急速に普及し、対面でのコミュニケーションは減少している。さらに、集合型の研修やワークショップ、懇親会など、いわゆる「密」の状況が発生し得るイベント等も、中止・延期に追い込まれた。こうした状況において、企業と従業員の相互理解や相思相愛度の高さを表す「エンゲージメント」が低下するリスクは計り知れないと著者は指摘する。

 本書では、従業員エンゲージメントを高めるきっかけとなる「場(イベント)」のつくり方と、それを成功させるための秘訣(ひけつ)を解説する。まずは、"参加者の心が動く場"のデザインを、①見立てる(See)、②企てる(Plan)、③開く(Do)という三つのステップで見ていく。その上で、成功する場をつくる上でのファシリテーションの重要性に触れる。ファシリテーターに求められる役割や参加者が安心できる場のつくり方に加え、コロナ禍で重宝されるオンラインの場におけるポイントも述べられている。

 後半では、8社の事例を取り上げる。①キックオフ、②ワークショップ、③社員総会、④表彰式という四つのイベントについて、それぞれリアル(対面)での開催とオンライン開催の両パターンが紹介されており、どのような工夫で"参加者の心が動いたか"がイメージできる。また、本書の最後には、アイスブレイクや対話の促進などを図るための「場づくり鉄板ツール」として、サイコロや紙とペンなどで手軽に実践できる15の手法が紹介されている。新型コロナにより、企業と従業員の関係にもある種の危機が訪れている今こそ、互いのつながりを取り戻すために、ぜひ本書を一読してほしい。

 



エンゲージメントを高める場のつくり方

内容紹介

リモート時代でもエンゲージメント(組織とのつながり、愛着心、誇り)を保ち続けるにはどうすればいいのか?
リアル、オンライン双方のイベント事例のほか、どんな状況でも活用できる、企業と個人がつながりを取り戻す場のデザインや成功するファシリテーションの技法を紹介。
キックオフミーティング、ワークショップ、社員総会、表彰式……
人や組織が変わるきっかけとなる「場」である「社内イベント」でエンゲージメントを最大化する。