厚生労働省は29日、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の分科会を開き、昨年度の取得率が7%余りにとどまった男性の育児休業の取得推進策について議論を始めた。夫婦で柔軟に取れるよう最大2回までとなっている分割取得の拡大や、夫が妻の出産直後に休みやすくする「男性版産休制度」の創設などが焦点となりそうだ。
年内をめどに結論をまとめ、来年の通常国会に育児・介護休業法などの改正案を提出する考え。
厚労省によると、現行制度では育休は1回にまとめるのが原則で、夫のみ出産後8週間までに取った場合は2回目を取得できる。これを夫婦とも複数回に分けられるようにすれば、職場や家庭の事情に応じて休みを取り、子育てや職場復帰の負担を軽減できる。
産後うつや体調不良で妻の負担が大きくなる出産直後に、夫が育休を取りやすくなる具体的な制度づくりにも着手。制度周知のため、現在は努力義務にとどまっている従業員への育休制度の説明を企業に義務付けることも検討する。
分科会で使用者側委員は「多くの人は給料が保障される有給休暇を取っており、育休の取得義務は議論すべきではない」と主張。労働側委員からは「育児が女性に偏っている現状を変えなければ、男性育休の意味がない」との意見も出た。
(共同通信社)