2020年10月09日掲載

BOOK REVIEW -  『職場の科学 日本マイクロソフト働き方改革推進チーム×業務改善士が読み解く「成果が上がる働き方」』

沢渡あまね 著
あまねキャリア工房 代表、株式会社なないろのはな 取締役 
四六判/224ページ/定価1400円+税/文藝春秋 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊

 本書は日本マイクロソフト社の部門横断的組織"働き方改革推進チーム"と、業務改善士として多くの組織支援を行う著者との対談がベースとなっている。日本マイクロソフト社では、自社製品の「ワークプレイスアナリティクス」と「マイアナリティクス」を活用して従業員の働き方に関するデータを収集・分析し、生産性向上へとつなげてきた。本書では、著者が「職場の科学」と呼ぶこの取り組みの成果から、厳選した28の知見が紹介されている。

 日本マイクロソフト社での取り組みの本質は、①働き方の見える化、②コラボレーションを本気で促す、③選択肢と多様性を保証する、の三つに集約されるという。また、定量的な視点だけでなく、従業員の心情や意識といった定性的な視点からの把握に努めている部分も注目したい。28の知見は、「部下の数が『5人以下』と『6人以上』で上司の負担は大きく変わる」など各項のタイトルで簡潔に述べられているが、実際に収集したデータと合わせて詳解されており、納得感の高い内容になっている。

 著者は、企業ごと・個人ごとに生産性向上への「勝ちパターン」は異なるという一方で、働き方改革が叫ばれ、新しい生活様式への移行が要請されている今こそ、「勝ちパターンの過渡期」であると主張する。その上で、日本マイクロソフト社が試行錯誤を経て得た知見と、そのプロセスを知ることに意味があると述べる。自社の、そして自身の勝ちパターンを模索する中でのガイドとなる一冊だ。

 



職場の科学 日本マイクロソフト働き方改革推進チーム×業務改善士が読み解く「成果が上がる働き方」

内容紹介

〈週勤4日〉〈出社不要〉〈人生100年時代〉
日本マイクロソフトが明かす職場のデータ分析!
高い成果を上げる人はどんな働き方をしているのか。
1兆ドル最強企業日本法人×『職場の問題地図』著者が、職場データから「成果が上がる働き方」を徹底分析。