2020年10月09日掲載

BOOK REVIEW - 『シリーズ ダイバーシティ経営 管理職の役割』

坂爪洋美、高村 静 著 佐藤博樹、武石恵美子 責任編集
A5判/208ページ/2500円+税/中央経済社 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊


 本書は、産学共同研究「ワーク・ライフ・バランス&多様性推進・研究プロジェクト」の研究成果をベースに、ダイバーシティ経営について解説するシリーズの一冊である。"ダイバーシティ"というテーマの中でも、本書では「管理職」に焦点を当て、管理職が担う役割の変化、ダイバーシティ経営における管理職のポジションなど、ダイバーシティ経営を効果的に進めるための管理職の在り方を多角的に解説する。

 まず、前半のパートでは、本書のテーマである「管理職」と「ダイバーシティ」に関する知見をそれぞれ整理する。管理職の組織運営上・人事管理上の機能や、ダイバーシティが組織にもたらす影響などについて、これまでに蓄積されてきた研究結果を紹介しながら解説していく。後半のパートからは、先行研究を中心に、ダイバーシティ・マネジメントと管理職の関係性を掘り下げていく。ダイバーシティ経営を成果につなげるために、管理職がどのように関わっていくのか、そのプロセスやメカニズムを紐解くとともに、ダイバーシティ・マネジメント特有の難しさを解説する。さらに、組織全体を見渡した際に、管理職の立ち位置や組織の取り組みはどうあるべきかも考察していく。

 管理職は、ダイバーシティ・マネジメントを推進する上で、非常に重要な役割を担う。一方で、これまでとは異なる行動を管理職に求めることとなるため、課題を感じている企業も多いだろう。本書では、そうした課題に向き合うために、学術的な知見をまとめるだけでなく、具体的な解決策も提示する。研究成果に裏付けられた本書は、ダイバーシティ・マネジメントの仕組みを学ぶ上で最適な一冊である。

 



シリーズ ダイバーシティ経営 管理職の役割

内容紹介

成功の鍵を握る管理職に焦点を当て、課題と解決策を示す。
多様な人材を受け入れ、それぞれが能力を発揮し、経営成果として結実させるための戦略が分かる新シリーズ!
職場でのダイバーシティ・マネジメントにおいて中核的な担い手であり、最前線で対応することになる管理職に着目し、その果たすべき役割と職場にもたらす成果について解説する。