2020年10月23日掲載

BOOK REVIEW - 『労働時間を適正に削減し、休日・休暇を正しく運用する法』

労務リスクソリューションズ 著
四六判/252ページ/定価1700円+税/アニモ出版


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊

 労働時間管理と休日取得は、従業員にとって生活に密着する部分であり、近年の法改正もあって関心が高い。企業としても適正な運用を行い、トラブルを避けたい分野だ。しかし、本書の登場人物である中小企業経営者の"べらんめえ社長"は、気前よく経営をしてきたつもりが法違反を重ねてしまい、従業員から訴えられてしまう。本書はべらんめえ社長と、相談を受けた"ソリュー先生"のやりとりに沿って展開される、全8章から成る「正しい運用方法」の指南書である。

 序章から第3章までの本書前半では、労働基準法等の法律に基づいて、労働時間と休日・休暇の初歩を学ぶ。「残業代を支払っていたつもりが認められなかった…」「不就労時間も含むタイムカードの時間通りに残業代を請求された…」など、べらんめえ社長の相談内容は基本的だが、ソリュー先生の解説を通し、自社の運用は適正か、見落としていたポイントはないかを確認できる。第4章以降は、業務効率化を目指すためにどのような制度を採用するとよいか、どう適切に運用するのか――という切り口で解説が続く。自社の働き方に合った労働時間制度の設計検討に活用できるだろう。就業規則例に加え、社内書式例のテンプレートも豊富に紹介されている。

 ソリュー先生こと本書の著者は、労務トラブルに精通した社会保険労務士と、企業法務を専門とする弁護士で構成された専門家チームである。生産性を維持し、利益を減らすことなく社内制度を運用するという視点から、労働時間制度の基礎的な内容と関係法令が網羅的にまとめられており、何かあったときの対応を知るために参考となる一冊だ。

 



労働時間を適正に削減し、休日・休暇を正しく運用する法

内容紹介

労働時間と休日・休暇に関して、法律知識の解説だけでなく、労働時間を合法的に減らし、休日・休暇を効率よく取得させる方法を実践的に指南する本。

多様な働き方に対応した社内制度の見直しについての方法も満載です。著者の労務リスクソリューションズは、労務リスクの抽出とコンプライアンスの実現をサポートするコンサルタント・グループ。絶対にトラブルにならない方法を労務のプロがわかりやすく教えます!