2020年11月13日掲載

BOOK REVIEW - 『シリーズ ダイバーシティ経営 働き方改革の基本』

佐藤博樹、松浦民恵、高見具広 著 佐藤博樹、武石恵美子 責任編集
A5判/168ページ/2500円+税/中央経済社 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊

 本書は、筆者らが参画する産学共同研究「ワーク・ライフ・バランス&多様性推進・研究プロジェクト」の研究成果を基に、「ダイバーシティ経営」について解説するシリーズの3冊目である。本シリーズにおける「ダイバーシティ経営」とは、多様な人材を受け入れ、それぞれが保有する能力を発揮し、それを経営成果として結実させるという戦略をもって組織運営を行うことを意味している。このうち、本書で取り上げるのは、残業など長時間労働の解消の取り組みというだけにとどまらない「働き方改革」の基本だ。

 企業による働き方改革は、労働時間の削減や有給休暇の取得促進等の取り組みを実施する「狭義の働き方改革」と、多様で柔軟な働き方の実現と社員ひとり一人が高い時間意識を持った働き方へ転換する「広義の働き方改革」に大別される。本書は、後者の取り組みの重要性を示すべく、各種調査データを用いながら企業における働き方改革の現状と課題について説くとともに、働き方改革の担い手となる管理職の役割や、部下マネジメントのポイントを紹介する。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い普及した在宅勤務などテレワークなど勤務場所の柔軟化にも触れるとともに、働き方改革と表裏一体となる「生活改革」について、多くのデータや研究を取り上げながら言及している点が本書の特徴だ。各章のはじめには要旨、おわりにはポイントと引用書籍・論文が示され、各テーマの要点を簡潔に押さえることができる構成となっているため、"全体を概観する"ことができる点も、忙しい実務家の読者には有り難い点だろう。本書を片手に、自社で「ワーク・ライフ」社員を増やしていく「ダイバーシティ経営」を進めていただきたい。

 



働き方改革の基本【シリーズダイバーシティ経営】

内容紹介

長時間労働の解消のみが働き方改革の目的ではない。
ダイバーシティ経営等に貢献する柔軟で多様な働き方を実現するために、高い時間意識を持った働き方への転換と管理職の職場マネジメントの改革を進めるための方策を示す。