2020年11月27日掲載

BOOK REVIEW - 『失敗しない定年延長 「残念なシニア」をつくらないために』

石黒 太郎 著
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 
コンサルティング事業本部組織人事戦略部長・プリンシパル 

新書判/230ページ/定価800円+税/光文社 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊

 仕事を増やす"迷惑系シニア"、自分勝手な"勘違い系シニア"、給料泥棒の"無力系シニア"――シニア活用の重要性が高まる中、こうした「残念なシニア」の存在に頭を悩ませる企業は多いだろう。「残念なシニア」が生まれる原因として、筆者は定年後再雇用による処遇の低下を挙げる。本書では、シニアにモチベーション高く働いてもらうための鍵として「あるべき定年延長」を取り上げ、失敗しないためのノウハウを解説する。

 まず、第1~2章では、残念なシニアが発生する理由とシニア活用の重要性を、さまざまなデータから分析していく。続く第3章では、シニアを正しく活かすために知っておくべき「雇用ジェロントロジー(老年学)」という考え方を提唱。加齢に伴い、一般的に体力や知力、心にどのような変化が起こり、どういった身体機能の衰えが見られるのかを捉え、それによって悪影響が想定される職務の特徴を挙げる。本書の後半第4~6章では、定年延長の検討を進める際に参考として、人事制度の考え方や会社従属型雇用の問題、コロナ禍で在宅勤務が普及したことから注目の高まっている「ジョブ型」の人材マネジメントにも触れる。

 近年、本書のメインテーマである定年延長を検討し、またその必要性を感じている企業は少なくない。しかし、筆者は、「定年延長を単なる定年退職年齢の見直しと捉え、小手先の人事制度見直しだけで乗り切ろうとすると、企業経営に重大な悪影響を与えかねない」と警鐘を鳴らす。本書を読み、自社の将来を左右する重要な経営課題の一つとして定年延長に取り組んでいただきたい。

 



失敗しない定年延長 「残念なシニア」をつくらないために

内容紹介

「定年延長」に失敗すれば日本経済は必ず崩壊する――

少子化の進展により、日本の生産年齢人口は急激に減少中。そして、バブル期入社組の大量定年退職が秒読みに入ったことで、労働力不足はさらに深刻さを増している。2020年代において、労働力不足を補うもっとも手近、かつ有用な人材は、世にあふれるシニアたちをおいて他にない。しかし、小手先の定年延長を行えば、「残念なシニア」が大量に生みだされ、企業のみならず日本経済全体の後退をも引き起こす。
会社の将来を憂う経営者や人事部員、これから定年を迎える会社員、そしてすべてのシニア予備軍へ、気鋭の人事コンサルタントが送る“正しい定年延長”の提言書。