2020年12月11日掲載

採用担当者のための最新情報&実務チェックポイント - 2020年12月


ProFuture株式会社/HR総研
代表 寺澤康介
(調査・編集: 主席研究員 松岡 仁)

 ProFuture代表の寺澤です。
 11月20日、読売新聞朝刊の1面で「トヨタ、大学推薦全廃」が報じられました。2022年入社から適用されるということで、既にインターンシップ等で実質的な就職活動が始まっている世代からが対象となります。全国の大学に対しては、既に文書で伝達済みとのことですが、大学やこれから就職活動を迎える学生たちに与えた衝撃は大きかったと思います。
 技術系における推薦制度の歴史は古く、特に大手メーカーでは技術系採用の大半が大学院生で占められており、入社者に占める推薦応募の比率は極めて高い企業が多くなっています。現にトヨタ自動車でも、技術系の自由応募は一部にとどまっていたといいます。もともと自動車業界は機械系の技術が中心でしたが、今や電動化や自動運転など、電気・電子だけでもなく、通信、情報、AI、人間工学など幅広い領域の人材が必要となり、これまでの大学研究室とのしがらみを断ち切ることが求められていたということでしょう。
 この動きは他のメーカーにも波及する可能性は大きいと思います。大学や研究室(教授)とのつながりが強ければ、学内での推薦枠に入り込めればかなりの高確率で内定が保証されていた推薦制度は、就職活動に割く時間を大幅に削減して、研究に集中することができることもあり、学生にとっては非常に魅力的な制度だといえます。もちろん、推薦制度を利用する場合には、応募した1社の結果が出るまでは2社目に向けての応募活動ができないなどの制約を受けますので、推薦制度をあえて利用せず、自分で興味のある企業に複数応募できる自由応募を選ぶ学生も増えてきつつあったことは事実です。
 ただし、企業側からの変革の動きは注目に値します。今年、コロナ禍の中でいっきに説明会や面接等のオンライン化が進みましたが、これに続いて技術系の推薦制度の崩壊のような事態になれば、昭和、平成と長年続いてきた採用手法の常識が、令和の時代になって大きく様変わりすることになります。他メーカーの動きに注目していきたいと思います。

スマートさが評価されるアクセンチュア

 さて、今回もHR総研が本年3月と6月の2回にわたり、2021年3月卒業予定の「楽天みん就」会員を対象に実施した就職活動動向調査の中から、企業の採用手法についての学生の評価を見ていきたいと思います。
 今回取り上げるのは、「セミナー・会社説明会」について上位に挙げられた企業への評価です。調査では、「最も印象の良かった企業とその理由」を、1人1社しか投票できない形式で聞いています。そのため、企業ごとの得票数は分散する傾向にありますが、1票の価値はとても大きいといえます。2022年卒採用に向けて参考にしていただければ幸いです。

 「セミナー・会社説明会」の好感度上位20位までのランキングは、[図表]のとおりとなりました。大手企業の場合、早期は別として、3月以降のほとんどのセミナーや説明会はオンラインで展開されるケースが多かったため、特にオンラインとの言及がなくても、オンラインセミナー・会社説明会についての評価が大半であると思われます。

[図表]最も印象の良かったセミナー・会社説明会

順位 企業名 総合 文系 理系
1 アクセンチュア 59 41 18
2 旭化成 51 33 18
3 カゴメ 35 23 12
4 日本航空(JAL) 28 25 3
5 NTTデータ 26 15 11
5 バンダイ 26 15 11
7 東京海上日動火災保険 25 25 0
7 東海旅客鉄道(JR東海) 25 16 9
9 JTBグループ 24 24 0
10 富士フイルム 23 16 7
11 ニトリ 21 18 3
11 ソニー 21 8 13
13 楽天 20 12 8
14 アサヒ飲料 18 15 3
14 味の素 18 13 5
14 NEC(日本電気) 18 9 9
17 ジェーシービー 17 16 1
17 東日本旅客鉄道(JR東日本) 17 11 6
17 資生堂 17 7 10
20 第一生命保険 16 3 3
20 花王 16 8 8

資料出所HR総研「2021年卒学生の就職活動動向調査」(2020年3月・6月調査の合計)

 1位になったのは、アクセンチュア(59ポイント)で、「分かりやすさ」「社員の魅力」等を理由に挙げる学生が多くなっています。社員の印象として、人柄を挙げる学生は多いですが、「頭がいい」というコメントは他社ではあまり見ません。「端的」「構造化」「無駄がない」など、セミナーの内容、進行にスマートさを感じさせるコメントが目につきます。

・話が端的で分かりやすかった(早慶大クラス・文系)

・構造化されていて分かりやすい(早慶大クラス・文系)

・話が分かりやすく、事業に夢があった(上位私立大・理系)

・簡潔に選考プロセスとこの会社が求める人材像をプレゼンしていた(上位私立大・文系)

・社員の頭がいい(上位私立大・理系)

・社員さんの回答が正直で頭がよさそう(上位私立大・理系)

・社員の方とオンラインでお話をする機会を多く設けていただいた(上位私立大・文系)

・社員座談会でさまざまなキャリアの方が登壇してくださり、自身のキャリアイメージがわいた(早慶大クラス・文系)

・丁寧であったから。また大学別のリクルーター会もあった(上位私立大・文系)

・働き方が具体的になった(上位私立大・文系)

・無駄がない、外資系の良さがあった(その他国公立大・理系)

 2位は旭化成(51ポイント)。メーカーの場合、文系よりも理系からの得票が多くなりがちな傾向がある中で、文系のほうが理系の倍近い得票を稼いでいることが特徴といえます。「回数の多さ」が評価されていますが、同じ内容の繰り返しではなく、回ごとに趣向を変えた内容が展開されているようです。人事や社員の人柄を評価するコメントも多くなっています。

・回数が多くて企業理解が深めやすかった(旧帝大クラス・文系)

・頻繁に開催されていて、どの回も面白かった(旧帝大クラス・文系)

・人事の方がユニークに会社紹介していた(上位国公立大・理系)

・人事が良かった(早慶大クラス・理系)

・社員がいい人なのが伝わった(早慶大クラス・文系)

・会社の雰囲気が良かった(早慶大クラス・理系)

・ざっくばらんに何でも答えてくださった(上位国公立大・文系)

・座談会まで手配してくださったので、会社の雰囲気がより理解しやすかった(上位私立大・理系)

・アーカイブではなくリアルタイムでの配信だったため、その場で寄せられた質問に回答してくれた(上位私立大・理系)

質問への対応が評価されるカゴメ

 3位はカゴメ(35ポイント)。2位には少しポイントで引き離されていますが、社員の印象や質問への真摯な対応が好印象を与えているようです。オンラインの特性を生かして、ライブ配信した内容をアーカイブして後から何度でも視聴できるようにすることで、聞き逃しをなくすことに成功しています。

・雰囲気が明るい。オンラインならではの、画角の意識などもちゃんとしていて「見られている」ということをちゃんと意識していたんだと思う(旧帝大クラス・理系)

・聞き逃した部分もアーカイブで情報が得られた(旧帝大クラス・理系)

・弱みなども話してくれた(旧帝大クラス・理系)

・社員さんから伝わってきた雰囲気(上位私立大・文系)

・説明が分かりやすく、社員の印象も良かった。参加者の声を適切に拾ってくれた(中堅私立大・文系)

・研究職の社員さんに自由に質問ができ、深い内容まで聞くことができた(その他私立大・理系)

・質問時間を多く設けてくださった(中堅私立大・文系)

・質問に丁寧に答えていた(その他国公立大・文系)

 4位は日本航空(JAL/28ポイント)。採用活動を中断していた客室乗務員と地上職(業務企画職)について、同社が正式に「採用中止」を発表したのは7月下旬で、本調査の1カ月以上後のことです。調査前に発表されていたら、また違った結果になっていたかもしれませんね。

・具体的なイメージがわく説明会であり、非常に惹かれた(上位国公立大・文系)

・説明が詳しかった。業務内容に関する理解や自分と合うかどうかなど考える材料をしっかりとくれた(その他国公立大・理系)

・一人ひとりに丁寧に受け答えしてくれた(上位私立大・文系)

・オンラインでも人事の方たちの雰囲気が分かりやすかった(上位私立大・理系)

・学生へメッセージや制服の紹介など細かく丁寧に説明してくれた(中堅私立大・文系)

・質疑応答の時間が長かった(その他私立大・文系)

・質問を受け付けその場で答えるなど、就活生にできるだけ企業のことを知ってもらおうとする姿勢が感じられた(上位私立大・文系)

 5位にはNTTデータとバンダイがともに26ポイントで並びました。
 NTTデータは、オンラインにもかかわらず、うまく社員の魅力を学生に伝えることに成功しているようです。質問時間の長さと質問へのリアルタイムの回答も評価されています。

・人事の進行が上手(上位国公立大・文系)

・SIerという事業への内容を全般的に深めることができた点で有意義だった(早慶大クラス・文系)

・アットホームな雰囲気で、オンライン配信にも関わらず社風が伝わってきた(上位国公立大・理系)

・社員座談会が充実していた(上位私立大・文系)

・質疑応答の時間や社員との交流会の時間をたくさんとってくださって、会社のことについて深く知る機会となった(上位私立大・文系)

・視聴している学生の質問にリアルタイムでたくさん答えてくださった(旧帝大クラス・文系)

・質問に回答してもらえる説明会が何度もあって参加しやすかった(上位国公立大・理系)

・濃い内容だけでなく、人柄の良さが十分に出ていた(上位私立大・文系)

・何よりもコンテンツが大量にあり、企業研究の材料には事欠かなかった(早慶大クラス・文系)

 バンダイは、印象が良かった理由として「社員の雰囲気」「会社の雰囲気」を挙げる学生が半数を超えています。「楽しそう」という言葉が多いのも特徴です。商品イメージの影響も少なからずあると思われます。

・社員さんたちの雰囲気が明るくて楽しそうだった(早慶大クラス・文系)

・楽しい雰囲気が伝わってきた(旧帝大クラス・理系)

・人柄の良さがにじみ出ていた(旧帝大クラス・理系)

・終始丁寧で、質問にも詳しく回答してくれた(早慶大クラス・文系)

・たくさんの写真が出てきたときに、フリップを出して質問大会がすごく、社員の方の仲が良さそうで、とても雰囲気が良かった(早慶大クラス・文系)

・会社の内部の様子まで教えてくれた(早慶大クラス・文系)

・会社の雰囲気が一番伝わってきた(旧帝大クラス・理系)

多種多様な説明会動画が評価されるJR東海

 続く7位には、東京海上日動火災保険と東海旅客鉄道(JR東海)がともに25ポイントで並びました。
 東京海上日動火災保険は、「セミナー・会社説明会」の好感度ランキングの毎年の常連ですが、理由コメントとして必ず挙げられるのが「参加特典(おみやげ)」です。今年は「ギフトカード」だったようですね。対面型のセミナーに足を運ぶには、交通費と時間、労力がかかりますが、おみやげをもらえれば、そのセミナーの印象は確実に強まるはずです。サマーインターンシップの評価では、缶ジュース1本で好印象を与えることができた会社もありました。

・毎度多くの社員の方と交流する機会を設けてくださる(早慶大クラス・文系)

・質問にできる限り答えてくれた(その他私立大・文系)

・人事の人の話し方がすごく分かりやすかった(上位私立大・文系)

・非常に働きやすそうだった。良い人が多そうだった(早慶大クラス・文系)

・オンデマンドでも見られる上、どのような人を求めているのかや、ESの書き方まで教えてくれた(上位私立大・文系)

・企業紹介ムービーがカッコいい。説明会参加特典が豪華(早慶大クラス・文系)

・ギフトカードがもらえた(その他国公立大・文系)

・さまざまな部門ごとに収録されていて見やすかった(上位私立大・文系)

・見やすいよう学生に配慮(その他私立大・文系)

 東海旅客鉄道は、多種多様な説明会動画と社員の雰囲気の良さが評価されています。

・社員の方の誠実さが伝わってきた(その他国公立大・文系)

・雰囲気が伝わり、温かいイメージを持った(その他私立大・文系)

・職種や性別など、多種多様な説明会動画が用意されていた(その他国公立大・文系)

・気になる内容を選んで試聴できた(中堅私立大・文系)

・内容ごとに動画を選べたところ(中堅私立大・文系)

・社員の方から会社の雰囲気が伝わってきた(中堅私立大・文系)

・出演している社員さんの雰囲気がとても良かった(その他私立大・文系)

・明るくはつらつとした社員の人柄(その他国公立大・理系)

 9位にはJTBグループ(24ポイント)がランクインしました。毎年、十数社のグループ企業が共同で新卒採用を展開しています。「積極的な情報発信」が評価されているようです。今回のランキング20位までで、理系からの得票が1件もなく、すべて文系からの得票だったのは、JTBグループと7位の東京海上日動火災保険の2社だけでした。

・さまざまな子会社の企業説明会を見ることができた。積極的に情報発信していると感じた(その他国公立大・文系)

・他の企業に比べ、積極的に情報発信の場を用意していた印象を受けた(その他国公立大・文系)

・ライブ形式で来た質問などに答える時間があったり、スライドを差し込み分かりやすい説明をされていたり、人柄の良さが伝わってきた(中堅私立大・文系)

・対話形式で分かりやすかった(中堅私立大・文系)

・面接のコツも伝えてもらえた(中堅私立大・文系)

・一回限りだけではなく、予定が合わず見られなかった学生が見られように、何度も見られるようになっていた(上位私立大・文系)

・他社との違いがよく分かった、特にビジネスモデル(上位私立大・文系)

・どういう企業なのか、なんとなく捉えていた消費者としての認識を革新的に変える内容だった(その他私立大・文系)

就活支援が評価される富士フイルム

 10位には富士フイルム(23ポイント)がランクインしました。企業説明だけにとどまらず、「就活支援」の要素が盛り込まれている点が評価されたようです。インターンシップでは、こういった要素を取り入れるケースは少なからず見受けられますが、採用広報解禁後のセミナーや会社説明会で「就活支援」の要素が盛り込まれることは珍しいと思います。他社がやっていないことだからこそ、強い印象を残すとともに、評価されているんでしょうね。

・社員の方が会社の情報を提供するだけでなく、就活における考え方など学生を思ったコンテンツだった(早慶大クラス・文系)

・企業に関してだけでなく就活に関しても勉強になる説明会であった。志望度が上がるような説明会であった(上位私立大・文系)

・人事の方が振り返りフォームを作ってくださるなどWeb上でもしっかりとフォロー体制が整っていると感じた(上位私立大・文系)

・Webセミナーでの、採用担当者の話す熱量が最高だった。志望度がさらに高まった(早慶大クラス・文系)

・説明会だけでなく、社員との座談会等が複数回あり、Webでありながら、社員と接する機会を多く設けていたため。学生への配慮を感じられた(その他国公立大・文系)

・質問を選ばずにどんどん回答してくれた(早慶大クラス・文系)

・チャットで質問したら即返信をくれる(早慶大クラス・理系)

 11位には、「インターンシップ」好感度ランキングでトップだったニトリとソニーが、ともに21ポイントで並びました。
 ニトリの評価コメントを見ると、経営トップが参加することで、採用に熱心な企業であることが伝わっているようです。

・社長が来ていた(上位私立大・文系)

・副社長から人生について大切な話を聞けた(早慶大クラス・文系)

・熱気が伝わった(中堅私立大・文系)

・今まで詳しく知らなかったことを知れて、印象が大きく変わった(早慶大クラス・文系)

・説明が丁寧だったのがとても印象的だった(早慶大クラス・文系)

・採用担当の方が親切だった(旧帝大クラス・理系)

・人事の方たちの対応が良かった(上位国公立大・理系)

・マスク着用を会場にいる全員に強制していて、コロナに対して臨機応変に対応していると思った(上位私立大・文系)

 職種コース別採用を実施しているソニーは、部署ごとの社員が参加するとともに、雰囲気の良さが好印象を与えているようです。

・行きたい部署の先輩社員の方のお話を伺えて参考になった(上位私立大・理系)

・分野別に開催されており、専門に近い部分が聞けた(上位私立大・理系)

・いろんなポジションの方が来て、リアルタイムの質問を交えながら包み隠さず企業のことを教えてくださった(早慶大クラス・理系)

・将来性、実際に働いている方の意見(複数)を知ることができた(上位私立大・理系)

・職場の様子を隠さず話してくれた。社員の方の雰囲気の良さが伝わってきた(上位国公立大・文系)

・社員の雰囲気の良さが伝わってきた。この人たちと一緒に働いてみたいと感じさせる説明会だった(上位私立大・文系)

・将来の事業展望や会社の雰囲気を知ることができた(早慶大クラス・文系)

オンラインセミナーの集中力は10分

 13位の楽天(20ポイント)は、IT企業らしく、社員がオンライン説明会をうまく使いこなしている姿が浮かびます。対面式でセミナーを開催する場合には、会場のキャパシティとの関係で参加できる人数が限られるのに対し、オンラインセミナーの場合には、あまりその点に留意する必要はなくなってきます。そのため、多人数でのセミナーを開催しがちですが、あえて「少人数制」のセミナーにすることで、参加者一人ひとりとより向かい合うことができるようになります。

・少人数のオンライン説明会を行い、参加者一人ひとりの質問に対して詳しく説明してくれた(旧帝大クラス・理系)

・説明会というよりも社員トークという感じで、社内の一室で行っていたため会社の雰囲気も分かり、とてもフランクな雰囲気かつ大変分かりやすく業務内容等を説明していた(上位私立大・文系)

・社員の方が楽しそうに仕事の話をしてくださった(上位私立大・理系)

・社員の方が図やムービーを使って分かりやすく企業の説明をしてくださった(上位私立大・文系)

・キャリアパスやさまざまな職種の方の話を聞くことができた(上位私立大・理系)

・多くの事業を分かりやすく説明していた(その他私立大・文系)

 17位の資生堂(17ポイント)も社長の登壇が評価されているほか、グローバルさを実感できる内容だったようです。

・社長登壇のイベントが良かった(早慶大クラス・文系)

・とても海外志向が強かった(旧帝大クラス・理系)

・グローバルを感じた(早慶大クラス・理系)

・少人数かつ親身になってお話を聞く機会があった(旧帝大クラス・理系)

・ダイバーシティを実現しており、さまざまな背景を持った方が映像に出てきたこと(その他私立大・理系)

・みなぎる自信を感じることができた(その他国公立大・理系)

 20位の花王(16ポイント)は、座談会と段取り良さが評価されています。セミナーのプログラム自体ももちろん重要ですが、セミナー参加申し込みの受付段階から当日運営、参加者へのフォローメールに至るまでの一連の運営が、スムーズに進行しているかどうかも同じくらい学生からチェックされていることに留意したいものです。

・複数の社員の方の座談会が催されたのを見て、社内の雰囲気が伝わった(上位私立大・文系)

・部門ごとの詳しい説明会だったため、とても理解が深まった(上位私立大・理系)

・インターン以上のことを知れた(早慶大クラス・理系)

・説明が分かりやすく、段取りが良かった(その他私立大・文系)

 対面式のセミナーと比べて、オンラインセミナーのプログラム構成で気を付けることは、学生を「飽きさせない工夫」です。講演形式のオンラインセミナーを視聴する際の集中力は、10分程度しか持続しないといわれています。動画や座談会を挟んだり、リアルタイムアンケートやグループワークなど、受け身になりがちな講演形式ではない参加型のプログラムを取り入れたりするなど、メリハリをつけることが大切です。
 いくつかの企業の評価コメントでも見られたように、質疑応答を充実させることも有効です。質疑応答の時間を長くとるだけでなく、チャットでの質問にはチャットで速やかに回答するべく、講演者とは別の事務局スタッフが質問に対応するなど、事前に役割分担を決めておくことも必要です。これはセミナーや説明会だけでなく、オンラインで展開されるインターンシップも同様です。リアルで実施していた内容をそのままオンラインに載せ替えただけではうまくいきません。オンラインで展開するプログラム構成について、再度見直してみることをお勧めいたします。

寺澤 康介 てらざわ こうすけ
ProFuture株式会社 代表取締役/HR総研 所長
86年慶應義塾大学文学部卒業、文化放送ブレーンに入社。営業部長、企画制作部長などを歴任。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。07年採用プロドットコム(ProFuture)を設立、代表取締役に就任。約25年間、大企業から中堅・中小企業まで幅広く採用コンサルティングを行ってきた経験を持つ。
著書に『みんなで変える日本の新卒採用・就職』(HRプロ)。
http://www.hrpro.co.jp/