2020年12月11日掲載

BOOK REVIEW - 『成果・イノベーションを創出する ダイバーシティ・マネジメント大全』

西村直哉 著
株式会社キャリアネットワーク代表取締役社長、リーダーシップ・コンサルティング株式会社代表取締役
A5判/256ページ/1480円+税/クロスメディア・パブリッシング 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊

 これまでの日本では、"ひとつの場所に集まって働く"ことが大前提としてあり、効率化を重視した結果、都市部にヒト・モノ・システムを集約してきた。しかし、「9.11」の同時多発テロ、「3.11」の東日本大震災、そして新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、「単一化」「集約化」のリスクを顕在化させた。これらのリスクを乗り越え、企業が発展していくには、「多様性」と「分散化」、つまりダイバーシティが重要となる――と著者は言う。同じ時間と空間を共有し、部下が目の前で働くことを前提としたマネジメントから、多様な人材が多様な場所で活躍し、成果・イノベーションを創出するダイバーシティ・マネジメントへ。本書では、その転換に必要な知識をまとめている。

 『大全』という名の通り、本書では「ジェンダー」「性的マイノリティ」「ジェネレーション」「外国人」「障害者」「育児・介護との両立」などの属性や事情ごとにカテゴリ分けして、マネジメントのノウハウを解説しているのが特徴だ。まず、それぞれの現状を分析した上で、各属性や事情を持つ社員と接する際に配慮したい点、マインドセットを紹介する。そして、上司と部下による1on1の会話における伝え方のOK/NG例等を示しながら、活躍を支援する上で有効な考え方や行動を解説していく。

 本書後半では、コロナ禍で急速に普及したテレワークに目を向け、働く時間・場所が多様化した職場でのマネジメントについても触れている。さらに、属性や事情とは関係なく、社員全員が活躍し、成果を創出していくために必要なマネジメントの在り方を提示する。ダイバーシティを企業の活力にしたいと考える経営者・人事担当者だけでなく、実際に職場でマネジメントする現場のマネジャーにも、ぜひ手に取っていただきたい一冊だ。

 



成果・イノベーションを創出する ダイバーシティ・マネジメント大全

内容紹介

成果・イノベーションを創出するためのマネジメントとは?

一括管理型のマネジメントから、“バラツキ”が強みになるダイバーシティへ。
ダイバーシティ・マネジメントの概観を説明し、日本における多様な社員のかたち、マイノリティへのマネジメントのポイントなどを解説する。