出産直後の男性育休促進 取得働き掛け企業義務 妻負担軽減、厚労省 改正法案、来年提出へ

 

 男性の育児休業取得を巡り、厚生労働省は24日、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の分科会に促進策をまとめた報告案を示し、同日大筋で了承された。産後鬱など妻の負担を減らすため、子どもの誕生から8週間は夫も柔軟に仕事を休めるようにする「男性版産休」を新設。企業に対しては、子どもが生まれる従業員一人一人への育休取得を働き掛けるよう義務付ける。

 同省は正式な報告書を基に、来年の通常国会に育児・介護休業法などの改正案を提出。大企業への育休取得率の公表義務化や契約社員ら有期雇用で働く人の取得要件緩和と合わせ、2019年度で7・48%にとどまる男性の育休取得率を30%(25年)まで引き上げたい考えだ。

 男性版産休は、妻の出産から8週の間に夫のみが利用できる育休の特例措置。通常の育休は1カ月前申請が原則だが、2週間前までの申請でよく、計4週分を2回まで取れるのが特徴だ。妻の退院時と実家から自宅に戻ってくる時に、夫が2週間ずつ休みを取って付き添うといった使い方が想定されている。通常の育休と同様に雇用保険からの給付金が支給される。

 取得の働き掛けは男女双方の従業員が対象で、企業に対し子どもが生まれる前に、政府や社内の育休制度を個別に説明して取得を促す義務を課す。上司による面談やパンフレットの配布など幅広い手段を認める方向だ。育休に関する研修の実施や、相談窓口の設置といった休みやすい職場環境づくりも義務化する。

 このほか、原則1回しか取れない育休を、夫婦それぞれが2回に分けて取れる分割制度の導入も決まった。交互に育休を取って子育てに当たることが想定されており、男性版産休と組み合わせれば、夫は最大4回の休みを取ることができる。

 与党の一部が求めていた育児休業給付金の増額は財源難のため見送る。

(共同通信社)