2021年01月22日掲載

BOOK REVIEW - 『対話型OJT “主体的に動ける部下”を育てる知識とスキル』

関根 雅泰、林 博之 著
A5判/288ページ/定価1800円+税/日本能率協会マネジメントセンター 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊


 リモートワークが普及し働き方が転換期を迎える今、改めて"部下の育成"に向き合う必要性が増している。いまだ収束の見えないコロナ禍は、部下育成においても、これまでのやり方が通用しなくなることを痛感させた。リモートワークや副業・兼業が主流となり、多様性がいっそう重要視されている時代において、「主体的に動ける部下(自律型人材)」を育てることは、部下や後輩を持つ人々の重要なテーマになっているといえる。

 「対話型OJT」は、教える側と教わる側が対話を通して、お互いの納得解を見つけていく手法である。教える側が"答え"を持っていて、それを部下に伝えるだけでよかったという「前のやり方」が通用しない、「これまでの正解」がすぐに変わってしまうという、答えの分からない時代にこそ、上からの一方的な正解の押し付けではない「対話型OJT」が求められるのだと著者は言う。本書では、その具体的な実践のノウハウ、現在多くの人が経験しているであろう"リモート環境"でのコミュニケーションの取り方などを深掘りしていく。方法論や考え方の解説に加え、現場で部下・後輩の育成に携わっている実務家たちの実践例も紹介されており、自身の状況に落とし込みやすい内容となっている。

 教え方は時とともに変わっていくが、教え上手な人の根底にあるものは一貫して「相手を思いやる気持ち」であり、「対話型OJT」を効果的に機能させるためにも、相手への尊重や信頼関係が重要だと、著者は最後にメッセージを送る。コロナ禍を機に急速に広がった在宅勤務などのリモートワークを、当たり前の働き方として定着させようとする動きも多く見られる。リアルな場での育成はもちろん、リモート環境下でも真価を発揮する「対話型OJT」を実践してみてはいかがだろうか。

 



対話型OJT "主体的に動ける部下"を育てる知識とスキル

内容紹介

今日からできる部下育成の全技術。自ら考え行動できる人材を育てるために必要な知識・スキルを「ヒト・コト・トキ」に分けて整理し、対話型OJTの具体的な方法論をリモートでの接し方や手離れを促す教え方も含めて紹介する。

部下・後輩に仕事を教え、一人前に育てていくうえで欠かせない「OJT」。ただ、組織の枠にとらわれないオープンイノベーションが求められたり、副業(複業)やリモートワークが当たり前になったりする中で、これまでの教え方・育て方の常識は、通用しなくなってきています。そんな時に効果を発揮するのは、本書が提案する「対話型OJT」。複数のメンバーによるネットワークを築きながら、対話をとおして育成するこの手法によって、限られた時間で自分で考えて行動できる自律型人材を育成していきます。リモートワークでの育成に悩むマネジャー、育成に時間がかけられない先輩社員必読の1冊です。