2021年02月26日掲載

BOOK REVIEW - 『恐れのない組織 「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』

エイミー・C・エドモンドソン 著
野津智子 訳/村瀬俊朗 解説 
A5判/320ページ/定価2200円+税/英治出版 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊

 心理的安全性とは、「チーム内で率直に意見を発言しても対人関係が悪化しないという信念が共有されている状態」のことである。チームのパフォーマンスを最大限に高めていくためには、人々が対人関係の不安なく「知識を共有したい」と思える、心理的安全性が確保された"フィアレスな(不安も恐れもない)組織"をつくる必要がある。1999年に心理的安全性の概念を提唱したエイミー・C・エドモンドソン(ハーバード・ビジネススクール教授)が、フィアレスな組織をつくり出すノウハウを解説したのが本書である。

 本書は全3部で構成されている。第1部「心理的安全性のパワー」では、心理的安全性の概念を説明し、なぜ重要なのか、なぜ多くの職場で当たり前になっていないのかを、過去の研究や病院での実話から紐解ひもといていく。続く第2部「職場の心理的安全性」では、官民両セクターの組織での実例から、心理的安全性が業績と人々に与える影響を解説する。成功事例だけでなく、失敗した事例も検証することで、心理的安全性の意義や影響を明示する。そして第3部「フィアレスな組織を作る」では、第2部までの流れを踏まえて、フィアレスな組織をつくり出すために必要なリーダーの行動や考え方に問題を絞る。

 一見、対立がなく皆が感じよく振る舞っている職場であっても、フィアレスな組織であるわけではない。チームのメンバーが対人関係の対立リスクを恐れ、建設的な意見を率直に言えなくなっている可能性も十分に考えられる。マネジメントを行い、組織やチームを導く立場にある人にこそ、"自社や自組織は心理的安全性が確保された職場となっているか"という命題に向き合うきっかけとして、本書を手に取ってほしい。

 



恐れのない組織 「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす

内容紹介

「心理的安全性」の提唱者による解説書がついに邦訳!

Googleの研究で注目を集める心理的安全性。これからの組織にとって、なぜ重要なのでしょうか。
この概念の提唱者であり、また『チームが機能するとはどういうことか』の著者でもあるハーバード・ビジネススクール教授が、ピクサー、フォルクスワーゲン、福島原発など様々な事例を分析し、対人関係の不安がいかに組織を蝕むか、そして、それを乗り越えた組織のあり方を描きます。
理論と豊富なケーススタディを軸に、実践への示唆までを語る包括的な一冊。