松下慶太 著
関西大学社会学部 教授
四六判/240ページ/定価1400円+税/イースト・プレス
関西大学社会学部 教授
四六判/240ページ/定価1400円+税/イースト・プレス
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 新型コロナウイルス感染拡大によって大きく変化した働き方を、”ジグソーパズルのピースをはめるように”元に戻すことが、果たして最善の選択なのだろうか。メディア論の視点から働き方を研究し、自身も2拠点生活を実践する著者は、この働き方の変化を”崩れたブロック”として捉え、積み上げ直しながら新しい形を目指すことを提案する。「どのようなワークスタイルを取るべきか」という正解のない問題を、コロナ禍をきっかけに前向きな課題として捉え直すために、論点を整理していくのが本書のテーマである。
■ 本書の本論部分は四つのChapterに分けられており、Chapter1は20代前半の「Z世代」のコミュニケーションや生活様式の変容に焦点を当てる。オンラインとオフラインを「重ねる」新しい価値観は、働き方にも影響を与えている。Chapter2ではこれまで「場所に基づいた働き方」をしてきた人々が「スタイルに基づいた働く場所」を選び始めた昨今の変化を解説する。アフターコロナの働き方の形が、オフィスの変化にも現れ始めている。
■ Chapter3は、出勤や会議などが生み出してきた物理的な移動や「余白の時間」がこれまで果たしてきた潜在的な機能を取り上げる。コロナ禍の中で、インフォーマルなコミュニケーションの場を意図的に設計している先進企業の例からは、労働時間削減だけが「新しい働き方」ではないことが理解できるだろう。最終章のChapter4で著者は、感染が収束し、強制的な自宅勤務が解けた後こそ、自律的なワークスタイルをデザインし、「働きたいように働く」社会作りが可能になると述べる。テレワークやワーケーションなど、働き方改革とコロナ禍のはざまで注目を集めるさまざまな話題を整理し、働き方の変化を論理的に捉えるために、ぜひ一読いただきたい。
ワークスタイル・アフターコロナ 「働きたいように働ける」社会へ 内容紹介 「仕事場」の多様性が、幸せな「働く」を生む! 「居心地の良さ」こそが、最大の企業価値に――。 経験して分かった「リモートワーク」の課題とは? 「ワーケーション」で長時間労働は改善するか? オフィス不要ではなく、「焚き火的オフィス」が求められる? コロナ禍を、ワークスタイルという「やっかいな問題」に向き合うチャンスに! 居心地の良さこそが最大の企業価値になる。リモートワーク、ワーケーション、シェアオフィス…。多様化する職場と、幸せな働き方の未来を探る。 |