厚生労働省の労働政策審議会部会が14日開かれ、飲食店の料理などを自転車で宅配する配達員や、フリーランスで働くIT人材について、企業に雇用されない個人事業主でも労災保険に入れる特別加入制度の対象に加える方向で議論がまとまった。次回の部会で正式に了承される見通し。
部会には、ウーバーイーツや出前館など宅配サービス大手でつくる業界団体や、IT人材の支援組織の関係者が出席した。「日本フードデリバリーサービス協会」の担当者は、個人で請け負う自転車配達員は推計約9万人と説明。「走行中にタクシーのドアが突然開き、ぶつかって大けがをした」などの事例を示した。
「ITフリーランス支援機構」は、国内のIT人材総数約160万人のうち、フリーランスは20万人前後で1割強を占めるとし、ストレスや過重労働による精神疾患、脳・心臓疾患、長時間の作業が原因の腰痛や椎間板ヘルニアなどを労働災害に挙げた。
特別加入制度は建設業の一人親方など、働き方が労働者に近い人を対象に労災保険への加入を任意で認めるもので、自身で保険料を払うことで補償が受けられる。芸能従事者、アニメーション制作従事者、柔道整復師の3業種が今年4月に追加され、運用が始まった。
(共同通信社)