大内 伸哉 著
神戸大学大学院法学研究科 教授
四六判/256ページ/定価2200円+税/明石書店
神戸大学大学院法学研究科 教授
四六判/256ページ/定価2200円+税/明石書店
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ コロナ禍で急速に普及したテレワーク。業種や業態によっては難しい側面もあるが、リモートで働くことが可能な職種においては、既に一般的な働き方として定着しつつある。こうした時流の中、テレワーク下で効率的に業務を回すためのノウハウなどの情報は巷間に溢れているが、本書はそうした表層的な内容ではなく、「そもそもテレワークは誰のためにするのか。なぜテレワークなのか」を正面から考える、本質を穿つ一冊である。
■ 本書では、①働く側、②企業、③フリーワーカー、④社会――の四つの視点から、テレワークがもたらす変化を見ていく。テレワークがどのようなことを実現するのか、そのメリットに触れた上で、そこに潜む問題(仕事の進め方を変えたくないという心理的な阻害要因、オフィスの縮小・廃止に伴う労働基準法における「事業場」の適用といった法的な課題など)にも切り込む。そして、今後DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展が予想される中で、テレワークがどういった役割を果たしていくべきかを提示している。
■ 2020年に実用化された5G(第5世代移動通信システム)の普及が進めば、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などの新たな技術はますます身近なものとなるだろう。こうしたICT(情報通信技術)は日々進化しており、テレワークでできる仕事の幅も格段に広がっていくとみられる。また、働く側の意識としても、テレワークが浸透し、SDGsなどの実現に向けた社会的な要請も高まる中で、近い未来、テレワークを"導入しない"という選択は、企業にとって自身の首を絞めることにもつながりかねない。本書を手に取り、「誰のために、なぜやるのか」を見つめ直すことで、戦略的に、そして目的を持ってテレワークを実施できるのではないだろうか。
誰のためのテレワーク?―近未来社会の働き方と法 内容紹介 テレワークはもはや、やるか、やらないかの段階ではない。 どう取り組むかだ! デジタルトランスフォーメーション(DX)により、会社のあり方も労働者の働き方も大変革の渦中にある。コロナ禍でテレワークが進んだが、これは単に働く場所が変わるということだけを意味するのではない。移動しないで働くことは、これまでの働き方の本質に影響するものである。そして、それは私たちの生活も変えることになる。労働法をベースに近未来の働き方を論じる。 『Webあかし』連載に加筆修正し書籍化。 |