2021年06月11日掲載

BOOK REVIEW - 『ジョブ型と課長の仕事 役割・達成責任・自己成長』

綱島 邦夫 著
有限会社経営力研究所コンサルタント、コーン・フェリー シニア クライアント パートナー 
四六判/272ページ/1600円+税/日本能率協会マネジメントセンター 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊

 ジョブ型雇用についての書籍の多くは制度設計や運用上のポイントに関する解説書であるが、本書はジョブ型雇用が有効に機能するために必要な「課長」の意識や考え方、行動変革のために必要な項目をまとめた実用書である。さまざまな業界でコンサルティングを行ってきた筆者が、コロナ禍の危機をチャンスに変え、日本企業で働く人の意識と行動の変容、イノベーションの創出と成長のために貢献したいという願いから執筆した1冊だ。

 第1章では、①ジョブとタスクの違いを正しく理解し、②ジョブの価値を向上させ、③ジョブを実践する原則を説明する。続く第2章では、中間管理職ではなく「中核管理職」としての課長の役割について、五つのマインドセットを提示する。第3章では、企業の成長のための目標管理におけるポイントを、メンバーのジョブの定義を踏まえ説明し、第4章で「リーダーシップ」「共感を生むコミュニケーション力」「問題解決のための思考力」をチーム運営に必要な課長のスキルとして、コラムを織り交ぜながら詳細に説いている。

 第5章では、コンプライアンス、ダイバーシティ、SDGs等、課長のマネジメント課題となり得る六つのテーマを網羅する。終章(第6章)では、課長が自らの成長を計画・実行していくために必要な六つの習慣を紹介し、実践に移すためのコツを知ることができる。本書は、自らがマネージしていく立場となった課長が、ジョブ型雇用下において何を考え、何を実行していくかというヒントがふんだんに盛り込まれている。ジョブ型雇用の制度運用自体ではなく、ジョブ型の組織で働くメンバーにどのような視点が必要であるかが課題となってきた際には、本書を手引きとしていただきたい。

 



ジョブ型と課長の仕事 役割・達成責任・自己成長

内容紹介

ジョブ型制度で何がどう変わるのか。組織の中核を担う課長級の社員に向けて、ジョブ型雇用で活躍するために知っておくべきこと、やるべきことを、自身の経験と実務のなかから得られた現場感覚に基づいて、体系的に解説する。

ジョブ型人事制度のもとでの課長の役割と仕事とは何か、これまでとは何が違うのか、何を為すべきかについて、人材育成の専門家が体系的に整理したことで本書は次のような行動を喚起します。
・経営からの待ちの姿勢ではなく、顧客起点から機会と脅威を探り、最適なビジネスを自律的に展開する。
・問題の発見と解決のための自発的な目標管理プロセスを運営する。
・プロジェクトをリードしていく。
・メンバーとの協同力が高まる。
・人の育成と同等に、自分のキャリアを開発する。