義経百合子 岡西淳也 編著/佐藤有香 小柏光毅 秋元勇研 近岡裕輔 著
A5判/392ページ/4200円+税/中央経済社
A5判/392ページ/4200円+税/中央経済社
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 労務行政研究所が行った「副業・兼業への対応アンケート」においては、2021年時点での状況として副業・兼業を"禁止している"が49.3%と、"認めている"の35.4%を上回っていたが、一方で厚生労働省ではこの数年で「副業・兼業の促進に関するガイドライン」やモデル就業規則の策定・改定を行うなど、副業・兼業への関心は今後ますます高まっていくだろう。本書は副業・兼業制度の導入や運用の実務対応について、第一線で活躍する弁護士と社労士がそれぞれの視点から詳細に解説するものだ。
■ 第1章は、副業・兼業制度の意義や就労形態、メリット・デメリット等をまとめ、官公庁や民間の各種データも参照しつつ、副業・兼業制度の概要を説明する。続く第2章は、副業・兼業制度に関連する労働基準法、労働安全衛生法、個人情報保護法などの法令に触れ、実務対応における法的なポイントをおさえる。さらに第3章では、社会保険、労災保険、雇用保険などの各種保険に関する法令とそれらの加入手続きや給付について解説した上で、第4章は厚生労働省によるモデル就業規則の規定例のみだと労務管理を適切に行うために不足している点があると指摘し、あるべき「副業取扱規程」を整備するための詳細な解説を展開している。
■ 第5~6章は、「全般編」「社会保険編」に分類して、全46問にわたる実務対応のQ&Aを掲載しているため、副業・兼業制度の運用に当たり直面する疑問を解消することができる。第7章では副業・兼業に関する17の裁判例について、「事案の概要」「主な判旨」「分析と実務ポイント」をコンパクトにまとめる。本書の執筆に当たり、実際に副業・兼業をしている人へのヒアリングも行っているため、実態に即した内容となっている点が大きな特徴であるといえるだろう。副業・兼業制度の導入を検討している人や、実務担当者に必携の一冊だ。
副業制度の導入と運用の実務 内容紹介 副業制度導入の基礎から応用までをフォローした実務書。2020年9月公表の改定「副業・兼業促進に関するガイドライン」を網羅的に解説し、「副業取扱規程」に定めるべき規定例を示して逐条的に説明する。Q&Aなども収録。 昨今の新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、従業員の休業や労働時間の縮減、残業の禁止などの措置をとらざるを得ない企業もある。こうした中、労働者の生活を支えるといった観点からも、事業者において副業・兼業制度の導入が注目されている。本書は、第1章で副業・兼業関連資料を幅広く紹介して分析し、第2章では2020年9月に公表された改定「副業・兼業促進に関するガイドライン」を網羅的に解説している。また、第4章では、「副業取扱規程」に定めるべき規定例を示して逐条解説し、第5章では実務上特に問題となる場面をQに設定して解説、第7章では、副業・兼業に関するリーディングケースとなる裁判例を余すことなく紹介、分析している。あわせて、第3章と第6章では特に企業からの問い合わせが多い、社会保険関連事項について独立して章を設けている。 |