2021年08月13日掲載

BOOK REVIEW - 『待ったなし! BCP[事業継続計画]策定と見直しの実務必携 ―水害、地震、感染症から経営資源を守る』

本田茂樹 著
ミネルヴァベリタス株式会社 顧問、信州大学 特任教授 
A5判/200ページ/定価2000円+税/経団連出版 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊

 終わりの見えない新型コロナウイルスの感染拡大は、予期できない非常事態に備えたBCP(事業継続計画)策定の必要性を多くの企業が認識する出来事となった。本書は平時の事業運営が困難な状況下、企業が速やかに事業を復旧・継続し、その社会的責任を果たすためのBCP策定の基本と、見直しのポイントをまとめた実務書である。

 本書冒頭の第1~2章では、まず企業活動におけるリスクとBCPの基本を解説する。防災計画の目的が「死傷者と損害額を最小限にすること」であるのに対し、BCPは「優先的に継続・復旧すべき重要業務の継続または早期復旧」が目的だ。防災計画とBCPを両輪としてバランスよく取り組むことが必要だと著者は述べる。さらに第3章では、発生事象(地震、水害、感染症)別に防災ポイントの詳解が続く。

 本書の後段では、具体的な「策定と見直し」の具体的な実務プロセスが述べられる。第4章でBCP策定の基本手順を細かく解説した上で、第5章ではBCP見直しのポイントとして、事業内容や組織体制の変更に応じた見直し内容や、実効性を高めるために社内の教育訓練でカバーすべき内容をまとめる。なお、最終第6章では、内閣府の「事業継続ガイドライン」「首都直下地震の被害想定と対策について」からBCP策定で押さえるべき部分を参考資料として抜粋し掲載している。各種の資料を確認しつつ、「想定外」の事態を生じさせないために、策定だけではなく、継続的なBCP見直しを行う必要性が理解できる必携書だ。

 



待ったなし! BCP[事業継続計画]策定と見直しの実務必携
―水害、地震、感染症から経営資源を守る


内容紹介

社員の安全の確保、円滑な事業継続の実現に必須の対応とは?
防災・減災の必須ポイント、感染症時代のリスクマネジメントが分かる


企業には、不測の事態に見舞われたときでも、被害を可能な限り小さく抑えるとともに、自社の事業を中断させず、また中断した場合でも速やかに事業を復旧・継続し、その社会的責任を果たすことが求められます。そのため、あらかじめ対応策(事業継続計画:BCP)を策定しておくことが推奨されています。
本書では、事業を継続できないケースに備え、的確に対応するために必須となるBCP策定の基本を押さえるとともに、「想定外」の事態が生じることがないよう、自社のBCP見直しのポイントを解説します。