2021年08月27日掲載

BOOK REVIEW - 『企業価値を高める組織・人材マネジメントの思考と実践』

石田雅彦 著
オリックス生命保険株式会社 執行役員
A5判/232ページ/定価2500円+税/金融財政事情研究会


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊

  デジタルトランスフォーメーションの進展やグローバル化の加速、新型コロナウイルス感染症の拡大など、激変する環境下で企業が社会のニーズに応えていくためには、何より企業価値を高める必要がある。近年では企業価値向上の一環として「人」に着目した打ち手の重要性も増しており、多くの企業がさまざまな検討をし、実践している。本書は、"事業目的"の見直しや"事業戦略"の再構築・深化といった経営的側面も視野に入れつつ、「組織・人材マネジメント」をどう考え、どう実践すべきかをまとめた一冊だ。

  本書は、昨今話題となっている「ジョブ型雇用」を取り上げた序論に続いて、全4章立ての構成となっている。第1章の「企業価値を高めるための取組課題と組織能力の再構築」では、まず"企業価値とは何か""取り組むべき課題とその実現に向けて必要な組織能力とは何か"を整理している。続く第2章では、「戦略的人材ポートフォリオの実現」として、人材ポートフォリオ設定・運用の枠組み、働きやすさとエンゲージメントの向上について解説していく。第3章では、いよいよ本書のメインテーマである「人材マネジメント」に踏み込み、採用や配置・異動、教育・研修、評価の考え方と実践のノウハウを提示する。最終第4章では、第1章で挙げた課題を実現するための人事部門の体制と役割を示す。

  著者は、国内および外資系の銀行・証券、保険会社において、通算25年にわたり人事や経営企画・内部通報の責任者として実務に携わってきた。そのため、人事領域の深い知識と経験に加え、より上位の企業経営の視点から見た考察が加えられている点が、本書の特徴といえる。ぜひ、「企業価値」という観点から、自社の組織・人材マネジメントの在り方を考えてみてほしい。

 



企業価値を高める組織・人材マネジメントの思考と実践

内容紹介

ジョブ型雇用をめぐる議論の本質は「プロ人材の育成・確保」による企業価値の向上にある!

技術革新と人口動態の変化という大きな構造変化のなかで勝ち残るためには、企業理念に基づく組織能力の強化と企業価値向上が必須。国内/外資系の銀行・証券、保険会社での豊富な経験・知見をもとに、①戦略的人材ポートフォリオの実現、②人的リスク管理、③ダイバーシティ経営・健康経営を中心課題に据え、その達成への道筋を徹底解説。