2021年09月10日掲載

BOOK REVIEW - 『人材マネジメント用語図鑑』

伊達洋駆、安藤 健 著
ビジネスリサーチラボ 代表取締役/人材研究所 シニアコンサルタント兼マネージャー 
A5変型判/304ページ/2000円+税/ソシム 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊

 人事にまつわる用語は数多あるものの、その定義や理論を熟知しているかと問われると、自信がない人も多いのではないだろうか。本書は、国内外の豊富な研究知見を踏まえ、人材マネジメントの用語を豊富なイラスト・図表とともに解説するとともに、関連する人事施策・制度をコンパクトに紹介していく。それぞれ経営学と心理学を専門的に学んできたキャリアを持ち、組織・人事領域に精通している2名のコンサルタントが執筆している点も大きな特徴だ。本書を通じ、人事担当者であれば耳にしたことがある用語について、実務だけでなく学際的な視点から理解を深めることができる。

 本書は「人材編」と「組織編」の2部構成となっている。人材編では「目標設定」「エンゲージメント」「キャリア開発」「フィードバック」等11のキーワード、組織編では「組織社会化」「リーダーシップ開発」「ダイバーシティ」「経営理念」「組織学習」等24のキーワードを取り上げる。各キーワードについて、冒頭にキーワードの定義と研究理論の概要・目的、主な研究者2人を紹介していく。キーワードに関連する研究テーマや人事施策・制度についても説明されているため、体系立てて理解することができるだろう。

 例えば、「モチベーション」の項では「マズローの欲求階層説」「内発的動機づけ」等の研究を紹介し、関連する人事施策として「人事評価制度」「社内表彰制度」等を紹介している。タイトルで「図鑑」と掲げているとおり、豊富なイラスト・図表を用いているため、今まで理論の学習を行うことを躊躇(ちゅうちょ)していた方にも手に取りやすいものとなっている。さらに学習を深化させたい場合は、豊富に紹介されている巻末の参考文献の中から興味のあるものを調べてみてもよいだろう。本書を片手に知的好奇心を刺激してみてはいかがだろうか。

 



人材マネジメント用語図鑑

内容紹介

人材マネジメント用語の定義や発祥から、正しい使い方や適用範囲、関連する人事施策や制度まで、イラストと図を交えて解説する。

エンゲージメント、自己効力感、モチベーション、職務満足など、最近、人事の現場では、人事特有の用語を使う人が増えてきました。しかし、「その正確な意味や活用法は?」と聞かれると、きちんと答えられない人がほとんどではないでしょうか。本書では、こうした人材マネジメント用語について、その定義や発祥から、正しい使い方や適用範囲、そして関連する人事施策や制度までを、学術研究の成果に基づき、「イラスト+図解」の形式でわかりやすく解説します。人事関係者だけでなく、マネジメント全般に携わる方にもおすすめの一冊です。