内定取り消し136人 今春卒、9割コロナ影響 2年連続高止まり

 

 厚生労働省は22日、今年3月に卒業した高校生や大学生の採用内定取り消しが、8月末時点で136人(37事業所)だったと発表した。うち、新型コロナウイルスの影響によるものが124人(25事業所)と9割を超えた。2020年3月卒業の211人(82事業所)に比べて減ったものの、2年連続で100人を上回っており、高止まりの状態が続いている。

 内定取り消しは解雇に相当し、客観的で合理的な理由がない場合は無効。これとは別に入社時期を遅らされた人が157人おり、厚労省が新卒者対象のハローワークで相談に応じている。

 業種別では卸売・小売業が75人で最も多く、製造業19人、医療・福祉14人と続いた。取り消された136人のうち、99人は他の企業などに就職した。全国のハローワークを通じて集計した。

 内定取り消しは、コロナ禍以前は年に数十人で推移。リーマン・ショック後の09年3月卒や東日本大震災後の11年3月卒など災害時や経済危機の際に増える傾向にある。

 同省によると、4月入社予定を直前に取り消されることが多いが、入社時期を遅らせた後に取り消す場合もある。内定者の相談で後日判明するケースもあり、状況が落ち着く8月末時点で調査している。

 厚労省の担当者は「内定取り消しが減ったからといって雇用環境が良くなったわけではない。コロナ禍は続いており、影響を注視する必要がある」としている。

(共同通信社)