代表 寺澤康介
(調査・編集: 主席研究員 松岡 仁)
ProFuture代表の寺澤です。
10月1日、多くの企業で2022年春入社予定の内定式が開催されました。9月30日での緊急事態宣言の解除の決定時期が9月28日と遅かったこともあり、内定者が多い企業では今年もオンラインで内定式を開催した企業が多かったようです。
今年の内定式の報道を見ていて感心したのは、オンライン開催という制約条件の下で、人事からの一方的な発信だけにならないよう、双方向性を持たせて、いかに内定式を盛り上げるか、いかに内定者同士のコミュニケーションを促進させるかを各社が工夫されていたことです。また、内定式の本来の目的である内定証書と内定承諾書(入社誓約書)の授受においても、いまや内定証書は式の最中にPDFで送付され、内定承諾書のサインまでもがオンライン化されていることにも驚きました。
内定式に続いて、内定者懇親会をオンラインで開催した企業も多かったことでしょう。ここでも一つ驚いたことがあります。9月に、弊社主催で人事役職者向けのオンライン研修会を実施しましたが、研修会の後半にオンライン懇親会を企画し、食事やドリンクのデリバリーサービスを利用することにしました。事前に弊社事務局にて食事プランを選定して、受講生の方にはお好きなドリンクセットと配達先住所だけをWebで登録してもらう仕組みなのですが、その食事プランのメニューの中に「内定者懇親会プラン」や「内定式プラン」なるものがラインナップされているのです。しかも、「スタンダードプラン」や「ランチプラン」、「居酒屋プラン」など約30のメニューのうち、「内定者」が名称に含まれるプランが実に八つもあります。それだけオンライン内定者懇親会のニーズがあるということなのでしょう。
ちなみに、10月2日には「内定式プラン」は「販売終了」になっており、「内定者懇親会プラン」だけが販売中になっていました。10月1日以降に内定式を開催する企業もあるでしょうが、「内定者懇親会プラン」で妥協してください。
文系は2020年卒採用のペースに近いが、理系は
さて、今回も前回に引き続き、6月にHR総研が2022年卒の「楽天みん就」会員を対象に実施した「2022年卒学生の就職活動動向調査」の結果から、コロナ禍での就職活動を振り返るとともに、さまざまな角度から学生の本音の声をお届けしていこうと思います。
第2回目の今回は、内定式にちなんで「内定」を切り口にしたデータを中心に紹介します。なお、今回の調査対象である「楽天みん就」の会員属性は、一般的な就職ナビの会員属性と比較して、高学歴大学グループの割合が高いことや、就職活動の開始時期が早いなど就職意識の高い層の学生割合が高いことから、内定率等の数値は各就職ナビ発表の月次内定率調査の数値よりも毎回高めに出る傾向があります。あくまでも経年比較や文理比較の参考データとしてお読みいただければ幸いです。
まずは、6月中旬時点での内定社数(内定率)を見ていきましょう。今年の内定取得ペースが例年と比べてどうだったのかを比較するため、2020~2022年卒の同時期調査の結果を比較してみましょう。[図表1]が文系、[図表2]が理系です。
[図表1]6月中旬時点での内定社数の3年比較(文系)
資料出所:HR総研「2022年卒学生の就職活動動向調査」(2021年6月。以下[図表]も同じ)
[図表2]6月中旬時点での内定社数の3年比較(理系)
文系では、「0社(=未内定者)」と「1社」は2021年卒が突出して多く、「2社」以上は一転して2021年卒が最も少なくなっています。2021年卒採用では、突然起こった新型コロナウイルス感染症により、採用活動を中断した企業や、不慣れなオンライン面接に戸惑った企業、そもそもオンライン化の波に乗り遅れた企業などが続出しました。その結果、選考スケジュールが大幅に遅れた企業が多かったことが原因です。
その後、結果的に内定率自体は徐々に追い上げていくものの、調査を実施した6月中旬時点では2020年卒採用との差は大きかったといえます。2022年卒はどうかというと、「0社」の割合は2020年卒より5ポイント高く、逆に「2社」は2020年卒より5ポイント低いなどの若干の違いはあるものの、ほぼ同様の傾向を示しており、2021年卒よりも早いペースで進行していることがうかがえます。
一方、理系では、「0社」や「1社」は2021年卒が高いものの、2022年卒も2021年卒とそれほどの差はありません。「4~6社」では、2021年卒より2022年卒のほうが3ポイント高くなっていますが、それ以外の区分での差は1~2ポイントに過ぎません。2022年卒のデータを2020年卒のデータを比較してみると、「0社」は5ポイント、「1社」は7ポイントもそれぞれ高くなっているのに対して、「2社」になると一転して6ポイントも低くなるなど、明らかに2020年卒よりは内定社数は少なく、どちらかというと2021年卒のデータに近くなっています。激しい争奪戦だといわれる理系において、2021年卒との差異で文系ほどの開きが見られなかったことは意外な結果といえます。ただ、1社目で意中の企業から内定を取得でき、そこで就職活動をやめてしまった学生が多かった可能性も考えられます。
次に、内定社数を大学グループ別に見てみましょう。文系では、大学グループ別の差異がはっきりと見て取れます[図表3]。
[図表3]6月中旬時点での内定社数の大学グループ比較(文系)
「0社」の割合で見てみると、「その他私立大学」33%、「中堅私立大」28%であるのに対して、「上位私立大」20%、「早慶クラス」14%、「旧帝大クラス」に至っては7%などと、上位クラスになるにつれ、割合は低くなっています。「1社」の割合こそ、どの大学グルーブでも3割前後とあまり差はありませんが、「2社」以上の割合は、「その他私立大学」38%、「中堅私立大」42%、「上位私立大」56%と増えていき、「旧帝大クラス」では63%と6割を超えます。
一方の理系では、「0社」の割合は、「その他私立大学」の17%に対して、「上位私立大」12%、「旧帝大クラス」でも10%となるなど、文系ほどの大学グループ間格差は見られません[図表4]。
[図表4]6月中旬時点での内定社数の大学グループ比較(理系)
「2社」以上の割合を見ても、「その他私立大学」の40%は他よりも低いものの、「中堅私立大」の54%に対して「旧帝大クラス」でも55%となるなど、あまり差異は見られません。前述の3年比較データでも、今回の大学グループ間での内定社数比較でも、文系と理系では傾向がずいぶん違うことが分かります。
文系と理系で1カ月のタイムラグ
次に、内定取得時期の違いについて、文系と理系を比べてみましょう[図表5]。「2020年5月以前」や「2020年6月」などの超早期は、そもそも内定を取得している割合自体がまだ低い時期ですが、いずれも理系より文系のほうが内定を取得している割合が高くなっています。ただ、これは超早期に就職活動をしている割合自体、文系のほうが理系よりも高いことが理由なのではと推測します。
[図表5]内定取得時期(複数回答)
文系と理系の内定取得率が逆転するタイミングが「2020年11月」です。この頃から「2021年4月後半」までは、ずっと理系の内定取得率のほうが高くなります。「3月前半」では4ポイント(文系9%、理系13%)、「3月後半」では5ポイント(文系15%、理系20%)、「4月前半」では6ポイント(文系19%、理系25%)も理系が高く、「4月後半」ではわずか1ポイント差(文系26%、理系27%)にまで縮まり、「5月前半」からは一転してまた文系のほうが高くなります。「5月前半」は5ポイント(文系24%、理系19%)の差ですが、「5月後半」には12ポイント(文系35%、理系23%)、「6月前半」にも11ポイント(文系33%、理系22%)と10ポイント以上の差が続きます。
内定取得のピークで見ると、理系は「3月後半」に20%と文系よりも5ポイント、さらに「4月前半」には6ポイントの差をつけ、順調に内定を取得した後、「4月後半」に27%でピークを迎えます。「5月前半」はゴールデンウィークもありいったん落ち込みますが、「6月前半」になっても23%とそれほど伸びず、「6月後半」は22%とさらに減少していきます。これに対して、文系は「4月後半」に26%で理系とほぼ並んだ後、「5月前半」には24%とやや減少するものの、「5月後半」には一気に35%まで伸びてピークを迎え、「6月前半」も33%と依然高い内定取得率をキープしています。このように、理系と文系の内定取得時期には1カ月ほどのタイムラグ(理系のほうが早い)があります。
前項の内定社数データでも、理系は大学グループ間での差異はあまりなく、調査時点で全体の内定率(内定社数「0社」以外の合計)は、文系の78%に対して理系は既に87%まで達しており、内定取得ペースが文系よりも早くなっていることがうかがえます。
超大手企業の採用の裾野が広い理系
次に、内定先企業の企業規模の違いを文理別に見ていきましょう。まず、文系の結果を見てみると、「旧帝大クラス」では断トツで「5,001名以上」の企業が最多となっており、58%と6割近い学生が内定を取得しています[図表6]。
[図表6]内定先企業の規模(文系・複数回答)
次いで「1,001~5,000名」が38%で続きます。「早慶クラス」を見てみると、「1,001~5,000名」は44%で「旧帝大クラス」よりも6ポイント高くなっていますが、「5,001名以上」となると47%と「旧帝大クラス」よりも10ポイント以上引き離されています。「旧帝大・早慶」とひとくくりでグルーピングされることも多いのですが、選考状況には明らかに違いが見られます。「上位国公立大」や「上位私立大」になると、「1,001~5,000名」が最も多く、その割合は「早慶クラス」とほぼ並んでいますが、「5,001名以上」となるとそれぞれ30%、36%と「早慶クラス」からさらに10ポイント以上引き離される結果となっています。その他の大学グループにおいても最も内定を取得している割合が高い企業規模は「1,001~5,000名」となっていますが、これは冒頭でもお断りしました「楽天みん就」の会員属性によるものだと推測されます。
一方、理系の結果を見ると、文系とずいぶん違うことに気づきます[図表7]。そうです。「5,001名以上」からの内定取得率の高さです。「旧帝大クラス」は文系と似たような結果になっていますが、「早慶クラス」「上位私立大」でも「5,001名以上」は53%と5割を超え、「上位国公立大」で45%、「その他国公立大学」や「中堅私立大」でもそれぞれ36%、33%と3割を超えています。2割に満たなかった文系の2倍前後にもなります。超大手企業といえども、理系採用においてはかなり採用の裾野が広いということがうかがえます。
[図表7]内定先企業の規模(理系・複数回答)
毎年3月にも就活学生を対象に就職活動動向調査を実施していますが、その中で「志望する企業規模」を問うと、必ず文系よりも理系のほうが大手企業を志望する割合が高い結果(2022年卒調査では、文系47%、理系74%)となります。それは先輩の就職実績を知っているからこそ、自分にも大手企業に就職できる可能性が高いと考えている学生が多いことも大きな理由だと推測されます。
ソフト重視の文系、デジタル重視の理系
複数社から内定をもらったとしても就職できるのは1社だけですから、最終的にはその1社を選ぶ必要があります。そこで、今度は就職活動を終了した学生を対象に、「入社を決めた理由」を複数選択で聞いてみました[図表8]。文系と理系で共通する部分もあれば、違いも見つかりました。
[図表8]入社を決めた理由(複数回答)
まず、文系・理系ともに最も多かったのは「仕事内容」で、文系72%、理系76%といずれも唯一7割を超えています。文系は次に「会社の雰囲気」が63%で続きますが、理系では50%で6位です。文系の3位は「事業内容」で60%、理系も63%で2位となっていす。文系では、次いで「福利厚生」(59%)、「給与」(53%)、「勤務地」(52%)と続きますが、これらの項目は理系でもそれぞれ56%、60%、52%と高いポイントを挙げています。
文理で違いが見られたのはこの後です。「人事の対応・人柄」は文系49%に対して理系は30%と20ポイント近い差が表れています。続く「会社の特徴・特色」でも文系43%、理系34%、「社員の対応・人柄」は文系41%、理系31%と、それぞれ10ポイント前後の差がついています。文系で2位だった「会社の雰囲気」と合わせて、「雰囲気」「人柄」といった個人によってとらえ方も異なるソフトの側面を文系は重視しがちなのに対して、理系は「仕事内容」「事業内容」「給与」といった、ある意味デジタルな側面を重視している傾向があるといえます。
就職ナビの利用率が低い理系
次に、「入社予定企業を就職先候補企業として認知し始めた時期」について、文系と理系を比べてみましょう[図表9]。文系では、認知し始めた時期として最も多いのは「2021年1~2月」と「2021年3~4月」でともに23%となり、これらを合計すると「2021年1~4月」で46%と半数近くに上ります。「2020年3月以前」は13%にとどまります。
[図表9]入社予定企業を就職先候補企業として認知し始めた時期
一方、理系では、「2020年3月以前」が「2021年3~4月」とともに20%で最も多く、「2020年3月以前」から「2020年10~12月」までを合計した、2020年内までに認知し始めた割合は62%と6割以上を占めています。文系で最も多かった「2021年1~2月」は15%にとどまり、文系とは大きな差がついています。理系のほうが就職先候補企業として認知し始めた時期が早いことがうかがえますが、これは理系の選考時期が早かったことだけでなく、理系のほうが早くからあこがれていた第一志望群の大手企業から内定を取得した割合が高かったからではないかと推測されます。
「入社予定企業との就職活動における最初の接点」についても見てみましょう[図表10]。文系では「就職ナビからのプレエントリー」が最も多く27%、次いで「インターンシップ」が23%、「企業のHPからのプレエントリー」が10%などとなっています。
[図表10]入社予定企業との就職活動における最初の接点
理系では「インターンシップ」が最多で22%、次いで「就職ナビからのプレエントリー」が17%、「企業のHPからのプレエントリー」が13%となっており、理系学生は、就職ナビと企業HPからのプレエントリーにあまり差がありません。文系学生よりも、就職ナビでプレエントリー先を探すのではなく、目当ての企業にダイレクトにアプローチする学生が多い傾向があるようです。また、理系ならではの「教授推薦」を挙げた学生はわずか2%にとどまり、結果的に教授推薦で就職先を決めた学生においても、教授から「この企業はどうだ」と薦められて初めて就職先として意識するのではなく、教授推薦を受ける企業について、事前に自らも何らかのアクションをとっていることがうかがえます。
横行する面接での禁止質問
次は、「内定」というキーワードからは外れますが、学生の生の声を抜粋してお届けしたいと思います。今後の採用活動の参考にしていただければ幸いです。
まずは、「説明会や面接を通じて、企業の社員や人事に言ってほしくなかった言葉」です。企業側にその意図はなくても、学生は圧迫面接だと受け取ってしまうこともあります。社員や人事の好印象は、学生の志望度向上に大きく寄与する半面、悪印象は逆に志望度を後退させてしまうリスクもはらんでいますので、注意が必要です。
・(ガクチカ=学生時代に力を入れたことに対して)それはすごいことなの? すごさがよく分からない(上位国公立大・理系)
・他の人と比べて2歩も3歩も足りていない。期待を超えてこない(その他国公立大・文系)
・君の夢は無理だと思う(その他国公立大・理系)
・君はうちでは活躍できないと思うよ(早慶クラス・文系)
・研究内容を説明したら、全然分かんないと言われ、高校の部活を話したら、その高校は強いイメージないと言われた(旧帝大クラス・理系)
・男性の多い業界で、「あなたは女の子だからねぇ」と言われたこと。女性が技術職に就くことに対して、何か思ってしまうことは百歩譲っても、このご時世でその言葉が喉で止まらない倫理観に驚いた(上位国公立大・理系)
・逆質問をした際に、「それ聞く必要ある? 意味なくない?」と馬鹿にしてきたこと(上位私立大・文系)
・3人の集団面接なのに、面接官が1人のみに「お待ちしています」などと合格を示唆する言葉をかけていて不快に感じた(上位国公立大・文系)
・面接官の方の志望動機を伺った際に、「自分たちの時代は特にやりたいことがなくても入ることができたので」と言ったこと(早慶クラス・文系)
・その会社の施策にとても共感していたのに、面接官はあまりいい印象を持っておらず、その施策をけなしていたこと(上位国公立大・理系)
・他の企業の評価を下げ、自社を持ち上げる言葉(旧帝大クラス・理系)
・グループディスカッションで大学名を言うことは、グループの発言裁量が低くなるので大学名は伏せてほしかった(中堅私立大・文系)
職業安定法では、「本人に責任のない事項」と「本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)」の11項目については、就職差別につながる恐れがあるとして面接選考で質問することを禁止していますが、実際の面接現場では横行しているようです。特に多いのが「家族に関すること」です。人事以外の部署の人が面接官となることも多いでしょうから、面接官研修を実施するなり、面接の進め方と禁止事項の資料を配布するなり、周知を徹底させる必要がありそうです。
・家族の職業や家族構成を聞かれて幻滅した(上位私立大・文系)
・銀行系の企業で家族構成や家族の仕事や勤務地について質問された(その他私立大・文系)
言葉自体が悪いわけではないものの、選考結果が決まっているわけではないのに期待をさせるような発言へのコメントも少なくありません。
・「ぜひ一緒に働きたいです」という言葉。結果は不合格だったのに、変に期待させることを言わないでほしい(中堅私立大・理系)
・二次面接で、次の面接を期待させるような言動をされたことです。あまりに具体的だったので次を期待しましたが、結局不合格となり精神的につらかったです(上位私立大・文系)
また、言葉だけでなく、表情や態度にも注意が必要です。
・言葉はあまりないのですが、明らかに話が伝わっていないような表情をされると、不安になりました(上位国公立大・文系)
・面接の時間に遅れて来る面接官の方は、「最初から採用する気がないのだな」と思い、気分を悪くしました(上位私立大・文系)
・言葉には出さないが態度が悪かったり、自分が言ったことに対して嘲笑されたり、嫌な雰囲気を醸し出された時に嫌悪感を抱いた(その他私立大・文系)
本当に気になるのは「福利厚生・給与・休日」
最後に、学生が会社説明会や面接で、質問したくてもできなかった内容についても紹介します。
・コロナ禍で影響を受けている業界に「どんな影響を受けて、これからの課題はあるか」と聞きたいが、オンラインだとなかなか聞きづらく感じた(上位私立大・文系)
・本当に誰もが納得する自分の会社しかない強みってなんだと思いますか(旧帝大クラス・文系)
・マスクを着用した面接官が画面越しで何を話しているのかわからない場面があったが、聞き返すことができなかった(中堅私立大・理系)
・社内結婚率はどれくらいですか(その他私立大・文系)
・転職する人はどれくらいいますか(上位国公立大・文系)
・入社してから他の会社に入社したいと思いましたか(上位国公立大・理系)
・働いている社員の生きがい(早慶クラス・文系)
・最終面接の方の名前と役職(中堅私立大・文系)
・今までの社会人生活で犯した失敗にどう対処してきたか(早慶クラス・理系)
・実際どのくらい転勤があるのか。ゴネれば転勤しなくても済むのか(上位私立大・文系)
・今後の詳しい選考スケジュール(旧帝大クラス・文系)
・リモートワークで地元から勤務することは可能か(出社の場合、新幹線通勤は可能か)(その他国公立大・理系)
・女性の産休などが、昇進に影響するのか(上位国公立大・理系)
・結婚や出産は、海外への駐在に関しては、関係ないのか(上位国公立大・理系)
・中間層の社員が少ない理由(その年代の採用数が少なかったのか、転職者が多いのか)(上位国公立大・理系)
・どれくらい内定承諾を待ってくれるか(旧帝大クラス・理系)
・その会社を辞めた人たちの共通点(旧帝大クラス・文系)
・他社と比較した上での弱みや改善点(上位私立大・文系)
ただ、なんといっても多いのは「福利厚生」「給与・待遇」「休日・残業」に関する内容で、回答者全体の8割以上を占めています。
・どの程度実際に休みを取ることができるのか、給料の幅(どれだけ頑張ればどの程度稼げて、頑張らなかったとしたらどの程度か)(早慶クラス・文系)
・給与について。説明会で採用担当の方はNGなしで! と言ってくれるけれども、やはり抵抗があった(中堅私立大・文系)
・福利厚生・年収モデル(タブーとされる質問内容であるが、10、20年後の働き方の想像を求めるのであれば年収や福利厚生のことも考慮するのは当然なのではないかと感じた)(旧帝大クラス・文系)
・給料や休日のことなど、もう少し詳しく知りたいと感じても、印象が良くないと思われてしまうことが怖くて質問できなかった(その他私立大・理系)
・休日や有休消化率については聞きたくても聞きづらかった(その他私立大・文系)
・福利厚生について詳しく聞きたかったけど、志望度が低いと思われると思って聞けなかった(その他私立大・理系)
「福利厚生」「給与・待遇」「休日・残業」を気にするような学生は要らん、と言ってしまうのではなく、そういう時代なのだと理解してあげることも大切です。「福利厚生」「給与・待遇」「休日・残業」だけをテーマにした会社説明会やセミナーを実施してみるのはどうでしょうか。他社との大きな差別化につながるだけでなく、応募者のモヤモヤ感をすっきりさせてあげることで志望度向上にも大いに貢献するのではないかと考えます。
寺澤 康介 てらざわ こうすけ ProFuture株式会社 代表取締役/HR総研 所長 86年慶應義塾大学文学部卒業、文化放送ブレーンに入社。営業部長、企画制作部長などを歴任。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。07年採用プロドットコム(ProFuture)を設立、代表取締役に就任。約25年間、大企業から中堅・中小企業まで幅広く採用コンサルティングを行ってきた経験を持つ。 著書に『みんなで変える日本の新卒採用・就職』(HRプロ)。 http://www.hrpro.co.jp/ |