2021年10月08日掲載

BOOK REVIEW - 『日本のGPAトップ大学生たちはなぜ就活で楽勝できるのか?』

辻 太一朗、曽和利光 著
履修データセンター 代表取締役社長、人材研究所 代表取締役社長 
新書判/336ページ/1180円+税/星海社 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊

 「GPA(Grade Point Average)」とは、アメリカを中心に世界各国で普及している、学生の成績評価を行う仕組みのことである。大学での履修科目に関する「S」「A」「B」といった成績に対して、それぞれ「4」「3」「2」などのポイント(GP)を付与し、「(履修科目のGP×その科目の単位数)の合計÷履修総単位数」の計算式で個人のGPA得点を算出する。本書はこのGPAに着目し、GPAが採用選考においても参考にするべき重要情報であり、GPA上位者が企業にとって魅力的な人材であることを、インタビュー調査を通じて明らかにする。

 日本におけるこれまでの採用選考では、特に文系の場合、大学での成績があまり重視されず、むしろ「成績優秀者(GPA上位者)=ガリ勉、真面目」とのイメージが持たれがちだった。しかし、著者らが「GPA上位5%」の学生84人に実施したインタビューからは、そうしたイメージとは大きく異なる実態が見えてきた。本書前半では、GPA上位者に共通で見られる資質や八つの特性について、学生らの生の声を紹介しながら分析していく。ここで見えてきた資質や特性は、入社後に仕事を進める上でも重要なものばかりである。

 本書後半では、インタビュー内容や、大学におけるシラバス(授業計画)の厳格化などによる行動の変化を踏まえ、採用選考においてGPAを確認することの重要性を説く。新卒採用では"ガクチカ"(学生時代に力を入れたこと)としてサークルやアルバイトについて尋ねることが多いが、大学環境が変化する中、GPAに代表される学業に対する取り組みも、応募者の能力や資質を知る上で、いっそう大きな意味を持つようになってきた。そうした実態を解き明かした本書は、採用活動に携わるすべての方に一読をお勧めしたい一冊である。

 



日本のGPAトップ大学生たちはなぜ就活で楽勝できるのか?

内容紹介

就活×採用の新バイブル
これまで語られなかった重要指標「GPA」を徹底解説!


本書では、今後の就職活動においてスタンダードとなるであろう理想的な採用基準「GPA」の仕組みと就活力を伸ばす方法について、人事のプロフェッショナルから学びます。実際にGPA上位5%にあたる84名の学生にインタビューを実施し、「成績優秀者(GPA上位者)=ガリ勉」という凝り固まったイメージを払拭し、彼らの実像に迫ります。適性検査によるタイプ分析や図版も充実。就活に向けて頑張る学生や、その親御さんや企業で人事や採用に関わる方々にとって、「就活」や「採用」の参考になること間違いなしの1冊です。