中電社員自殺、労災認めず 地裁「パワハラ証拠なし」


 中部電力の三重支店に勤務していた鈴木陽介さん=当時(26)=が自殺したのは、上司の暴言などパワーハラスメントや過重業務が原因として、母親吉田典子さん(59)が、労災を認めなかった津労働基準監督署の処分取り消しを国に求めた訴訟で名古屋地裁は11日、請求を棄却した。母親側は控訴する方針。
 井上泰人裁判長は判決理由で、「おまえなんていらない」「こんなんで大卒か」と上司が発言したとする吉田さん側の主張に対し、裏付ける証拠がないと指摘。「上司が日常的に業務指導を逸脱した言動をしたとは認められない」と述べた。
 その上で「業務も他の新入社員に比べて過大ではなかった」として、業務と精神障害発症に因果関係はないと判断した。
 判決によると、陽介さんは2010年4月に入社。三重支店に配属されたが、精神障害を発症し同10月に自殺した。吉田さんが13年に労災申請したが、津労基署は認定しなかった。
 吉田さんは判決後に記者会見し「まだ闘いは続く。一体何があったのか、せめて事実だけは(息子に)明らかにしてあげたい」と話した。
(共同通信社)